【全文】新型コロナの位置づけ「5類感染症とする方向で」 官房長官会見(1/20午後)
<会見トピックス>
▽新型コロナの感染症法上の位置づけ
▽ワクチン接種費用
▽国家安全保障戦略
▽ニュージーランド首相が辞任することについて
▽マイナンバーカード
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――新型コロナの感染症法上の位置づけについて伺います。総理は原則この春に5類に移行する検討を指示しました。狙いと社会経済活動に与える影響や効果について認識をお聞きします。また5類移行後も基本的な感染対策は求めるのか。今後、新たな変異株の出現などで感染状況が悪化した場合には方針の見直しもあり得るのか、伺います。
○松野官房長官
本日、新型コロナについて、原則として、この春に 新型インフルエンザ等感染症から外し、5類感染症とする方向で専門家に議論していただくことなどを確認しました。この感染症法上の位置づけの変更に伴い、患者や濃厚接触者の外出自粛について見直すこととなります。また、ウィズコロナの取り組みをさらに進め、社会経済活動をはじめ、平時の日本を取り戻していくため、医療提供体制や 現在講じている公費支援など、これまでの様々な政策措置の対応について段階的に移行することとし、具体的な検討、調整を進めていきます。あわせて、マスクの着用のあり方など一般的な感染対策のあり方についても見直していくことになります。今後、オミクロン株とは異なる変異株が登場するなど科学的な前提が異なる状況になれば、対応を見直すこととなりますが、オミクロン株については専門家から感染力は非常に高いものの、発生初期と比較して重症化率や死亡率が低下していること、将来の変異の可能性は必ずしも明らかではないものの、現時点において変異株の性質が流行状況に直接的に寄与する割合は低下していることなどの意見をいただいており、まずはこうした知見を踏まえて議論を進めていきます。
――ワクチン接種費用の公費負担も段階的移行の対象なのか?
○松野官房長官
医療提供体制や現在講じている公費の支援など、これまでの様々な政策措置の対応について段階的に移行することとし、具体的な検討、調整を進めていく考えであります。
新型コロナワクチン接種は予防接種法に基づき実施しており、現在その期間は今年 3 月末までとなっています。
このため、感染症法上の位置付けの変更に関わらず、新型コロナワクチンの接種の 4 月以降のあり方については、厚生労働省の審議会において議論を始めたところであり、費用負担のあり方についてもその議論を踏まえながら検討して参りたいと考えております。
――関連で伺う。新型コロナのワクチン接種状況について伺う。オミクロン株対応ワクチンの接種率は1週間当たり1%程度のペースでしか増えていません。現在の新規感染者数や死者数が増加している状況に対して、この接種ペースで充分と考えているのか、政府の認識を伺います。あわせて1日100万回の接種を超える日が、これまでどの程度あったのか現在の接種の進捗状況を教えてください。
○松野官房長官
新型コロナワクチンについては希望する全ての対象者が接種を受けられるよう、これまで取り組んできたところであります。本日公表時点でオミクロン株対応ワクチンの接種開始以降一日あたりの最多接種回数は12月9日の約108万回であり、この日を含めて、100万回を超えた日数は11月に2日、12月に6日の計8日であります。また、本日公表時点のオミクロン株対応ワクチンの接種率は、全人口の39.6%、高齢者の67.4%であり、現時点で公表されている最新のG7各国の接種率を比較すると日本が最も高くなっています。昨年秋の接種開始以来、接種が進んでいるところでありますが、現在の感染状況も踏まえ引き続き接種率の向上に取り組んでいきます。
――関連して新型コロナの水際対策について伺います。政府は現在、中国本土からの全ての入国者を対象に入国時のウイルス検査を実施するなど、水際対策を強化しています。5類に感染症法上の分類を見直した場合でも、こうした水際措置は継続して行うことが可能なのかどうか、政府の見解について教えてください。
○松野官房長官
水際対策について、中国において新型コロナの感染状況が急速に悪化するとともに、詳細な状況の把握が困難であることを踏まえ、新型コロナの国内への流入の急増を避けるため、昨年12月30日から入国時検査などの臨時的な措置を講じているところであります。当面、今回の措置を行いながら、中国の感染状況等を見つつ、柔軟に対応していきます。新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴い、水際措置のあり方についても見直すこととなるところであります。今後については、内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、引き続き、適切に判断をしていきます。
――昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略について伺う。同戦略では、国家としての力の発揮は国民の決意から始まると記載し、国民が安保政策に主体的に参加できるよう環境を整備するとも明記されている。ここでいう国民の決意とは具体的にどういったことを意味しているのか。また、国民が主体的に参加できる環境整備とはどういったものを念頭に置いているのかご見解をうかがいます。
○松野官房長官
ご質問の国民の決意の意味は、国家安全保障戦略に記載されている通りであり、国家としての力の発揮には我々の決意が必要ということであります。その上で更に申し上げれば、これも国家安全保障戦略に記載されている通り、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、我が国を守る一義的な責任は、我が国にあるとの認識のもと、伝統的な外交防衛の分野にとどまらない幅広い分野を対象とする国家安全保障政策を、総合的な国力を最大限活用して着実に実施していくためには、国民の皆様の理解と協力が不可欠という趣旨であります。政府として国民の皆様と共に今後努力していく考えです。また、国民が主体的に参画できる環境整備については、民主主義国家である我が国において、新たに策定された国家安全保障戦略等に記載されている安全保障戦略を、総合的な国力を最大限活用して着実に実施していくためには、国民の皆様の理解と協力を得ることが不可欠であると考えており、そのためにも安全保障政策等について国民の皆様に丁寧に説明していくことを示したものであります。
――ニュージーランドのアーダーン首相が2月上旬までに辞任することを表明したんですけども、コロナ対策では人気を博しましたが、最近は物価高で支持率が29%と低迷した、これが原因だと思われます。一方で先日発表された時事通信の世論調査によると岸田政権の支持率は前月比2.7ポイント減の26.5%で、横並びで比較できないですが最低というところはニュージーランドと同じではないかと思います。アーダーン首相ですけれども「首相という仕事は力が満タンでなければ続けることができない」と述べましたけれども、岸田総理が心折れない秘訣というのは何かというのを、そばにいらっしゃる長官から見てどのように思うか。
○松野官房長官
まず他国の首脳、政治家の方の発言・対応についてコメントすることは差し控えさせていただきます。岸田内閣としては今掲げている政策を国民の皆さんに丁寧に説明をし、一つ一つ着実に実行していくことかと思います。総理の心の折れない秘訣というご質問でございますが、私から説明することは差し控えさせていただきたいと思います。
――マイナンバーカードについて質問させてください。岡山県備前市が、給食費や保育費用の免除対象として家族全員がマイナンバーカードを取得することを条件にするという方針を示しています。一方で条件を満たさなければこれまで無償となってきた費用や料金を負担しなくてはならないということで、カードを取得しないことで不利益を受ける人が出てくる懸念があります。政府はマイナンバーカードの普及を進めていますが、そもそもカードの取得は任意であるとされているにもかかわらず、地方自治体でこのような施策が行われることの是非を政府としてどう考えるか、見解をお願いします。
○松野官房長官
マイナンバーカードは対面に加え、オンラインでも確実に本人確認ができる、安全安心なデジタル社会のパスポートであり、政府全体でその普及に取り組んでいるところであります。
こうした動きを踏まえて、各自治体においても積極的に普及策を検討し、取り組まれていると承知していますが、備前市の取り組みについては、個別の自治体の判断によるものであり、その詳細について現在検討中のものであることから、政府としてコメントは差し控えさせていただきます。