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【官邸キャップに聞く】岸田総理の施政方針演説 どう評価? “攻め”に転じるきっかけは…

2024年1月30日 18:27
【官邸キャップに聞く】岸田総理の施政方針演説 どう評価? “攻め”に転じるきっかけは…
岸田総理大臣が国会で30日、今年の政権運営の方針を示す「施政方針演説」を行いました。これをどう評価するのか。政治部の平本典昭・官邸キャップに聞きます。

──ずばり、どんな評価でしょうか?

ずばり、「守り」の演説だったと感じました。

この施政方針演説というのは、150日間という長い通常国会で政権が何を打ち出すのかをみる大事な演説です。去年は、攻めの戦略が見えました。

去年は1つ、キャッチーな政策を打ち出しました。「異次元の少子化対策」です。演説で岸田総理は「出生率の反転」を狙い「子育て予算の倍増」を打ち出しました。議場で去年、聞いていましたが、与党の席からは大きな拍手が沸き起こり、今年はこの戦略で「攻めるぞ」という気迫を感じました。

──一方で、今年の「守り」という感覚はどうして得たんですか?

今年、一番注目したのは「政治とカネ」で何を語るかでした。演説では「政治資金規正法の改正」「自ら先頭に立つ」と打ち出したんですが、与党内から拍手はありませんでした。

その静寂について、あるベテラン議員は「自民党も白けていた」と話していました。別の自民党議員は「裏金問題の実態解明も進んでいないし、再発防止策も中途半端で、国会は守り、『防戦一方』になる」と危機感をあらわにしていました。

──その岸田政権は今後、攻めに転じる「きっかけ」は何かあるんでしょうか。

総理周辺を取材していると、3つの「きっかけ」があると話しています。

1つ目は『3月 春闘での賃上げ』。2つ目は『4月 国賓待遇でのアメリカ訪問』。そして、3つ目が『6月 所得税などの定額減税』です。

3月と6月の「賃上げ」と「減税」で可処分所得が増えることで、「物価上昇を上回る所得の実現」を目指しています。これが実現すれば、総理周辺は「消費マインドがあがり世の中の雰囲気が変われば」と期待感を示しています。

──去年は1月から5月にかけて支持率が回復しましたよね。

去年、支持率は1月に39%だったのが、5月は56%と、17ポイントアップと「反転攻勢」に成功しました。3月の電撃的なウクライナ訪問、5月のG7広島サミットと、岸田総理得意の外交でポイントを稼ぎました。

──今年も狙い通り、反転攻勢となりそうでしょうか?

取材していますと、今年は去年とは状況が違うと思います。

国会がまず異例の開幕となりました。30日の施政方針演説は、もともとは初日に行うのが、その前に野党側が要求する形で「政治とカネの集中審議」を行いました。さらに野党側は、裏金議員リストを出さなければ国会審議に応じないと強気の姿勢をかなり見せています。ある立憲民主党の幹部は「世論を追い風に徹底的に対決姿勢でいく」と話しています。

岸田総理は周辺に、「まずは予算の成立に全力をあげる」と言っていますが、ある閣僚経験者は、野党側の厳しい追及を受ければ「予算の年度内成立と引き換えに総辞職の可能性もある」と、先が見えない中での国会スタートとなっています。


(2024年1月30日放送『news every.』より)