【全文】日韓首脳会談「日韓関係の正常化にとって大きな一歩と受け止めている」 官房長官会見(3/17午前)
松野官房長官は、17日午前、昨日の日韓首脳会談について「日韓関係の正常化にとって大きな一歩と受け止めている」とした上で「1965年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係をさらに発展させていく考えであります」と述べました。
<会見トピックス>
▽冒頭:閣議の概要・北朝鮮への制裁・犯罪対策閣僚会議・SDGs
▽日韓首脳会談
▽日銀の新体制
▽ドイツのショルツ首相の訪日
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。
一般案件等13件、政令、人事が決定されました。
閣僚発言として、法務大臣から第二次再犯防止推進計画について。
外務大臣から、外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮の核、その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画、その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置について。
岸田内閣総理大臣から海外出張不在中の臨時代理についてそれぞれご発言がありました。
●北朝鮮への制裁
北朝鮮は先月18日にICBM級の弾道ミサイルを発射し、日本海の我が国排他的経済水域内に落下させ、また昨日16日にもICBM級の弾道ミサイルを発射しました。前例のない頻度と新たな対応で続く北朝鮮による一連の挑発行動は、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり断じて容認できません。
また、岸田内閣の最重要課題である拉致問題についても、北朝鮮からは解決に向けた具体的な動きが示されていません。このような状況の中、本日の閣議においては拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的解決のための我が国のさらなる対北朝鮮措置として北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核ミサイル開発等に関与した3個人を外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することを了解しました。
我が国としては、拉致・核・ミサイルといった諸懸案に関し、北朝鮮が問題解決に向け具体的行動を取るよう強く求めます。
また、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら北朝鮮の非核化を目指していきます。
●犯罪対策閣僚会議
次に、本日閣議前に犯罪対策閣僚会議が開催され、SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン及び第二次再犯防止推進計画が決定されるとともに、不審者の学校侵入防止対策の強化について報告がありました。総理からはSNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランに関しては、こうした犯罪から国民を守り、その不安を解消するため、本プランを全力で推進すること。不審者の学校侵入防止対策の強化に関しては、不審者の侵入を許さず、子供たちが安心して学校で学べるよう、関係省庁で連携して万全の対策を講じること。第二次再犯防止推進計画に関しては、地方自治体や民間の協力も得ながら、関係省庁が緊密に連携し、再犯防止にしっかりと取り組むこと等について指示がありました。
なお詳細につきましては、内閣官房、副長官補室の事務方にお尋ねください。
●SDGs
次に、本日岸田総理を本部長とする持続可能な開発目標推進本部の第13回会合が開催しました。
本年はSDGsの中間年にあたります。誰1人取り残さない持続可能な経済社会システムを作り上げるとの決意のもと、アクションプラン2023を決定しました。
また、第6回ジャパンSDGsアワード表彰式を開催し、本部長賞を1件を含む5件を表彰しました。政府として新しい資本主義のもと、多様性に富んだ包摂的な社会を実現し、日本が国際社会の先頭に立って未来を切り開いていくべく、本日決定したアクションプランを着実に実行してまいります。
私からは以上です。
――昨日行われました日韓首脳会談について伺います。関係発展で一致し、シャトル外交や安全保障対応の再開、GSOMIAの安定的運用で合意したほか、両首脳が夕食も共にしました。一連の日程への評価と、G 7広島サミットに韓国を招待するのかをふくめ、今後の外交方針について伺います。
○松野官房長官
昨日の共同記者会見で、岸田総理からも述べた通り、今回の尹錫悦韓国大統領の訪日及び、日韓首脳会談は、日韓関係の正常化にとって大きな一歩と受け止めています。約12年ぶりとなる韓国大統領の日本への2国間訪問が実現し、岸田総理と尹大統領との間で、個人的な信頼関係を深め、日韓関係の新たな章を開くシャトル外交の再開で一致しました。
また、両首脳は両国が共に裨益するような協力を進めるべく、政治経済文化など多岐にわたる分野で、政府間の意思疎通を活性化していくことでも一致し、具体的に安保対話や次官戦略対話の再開、新たな経済安全保障に関する協議の立ち上げなどを進めていくこととなりました。さらに、首脳間で、現下の厳しい安全保障環境についても議論し、北朝鮮への対応を含め、日韓・日韓米の安保協力を推進していく重要性、自由で開かれたインド太平洋を実現する重要性などについて確認しました。今後とも、1965年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係をさらに発展させていく考えであります。
なお、G7広島サミットの招待国に関しては現在検討中であり、なんら決まっていません。
――日銀の新体制について伺います。来週20日、日銀の新副総裁に、前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田眞一氏が就任する見通しです。4月9日には日銀新総裁に経済学者の植田和男氏が就任予定です。本日の閣議で新副総裁2人の人事が決定しましたけれども、物価高が続くなか、政権として中小企業の賃上げを目指す上で、改めて日銀新体制に対する政策運営についてご所見をお願いします。
○松野官房長官
本日の閣議において、内田眞一氏及び氷見野良三氏を、日本銀行副総裁に任命し、3月20日付で発令することが決定されました。
日銀には引き続き政府との連携のもと、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切な金融政策運営を行われることを期待しているところであります。両副総裁にはそれぞれの特性を生かしつつ、一つのチームとして高い総合力を発揮していただきたいと考えております。
――ドイツのショルツ首相の訪日についてお尋ねします。明日、ショルツ首相が訪日し、日独首脳会談及び初めての政府間協議が行われます。今回の政府間協議及び首脳会談の狙いと、期待する成果について伺います。
○松野官房長官
明日18日、訪日するショルツ・ドイツ連邦首脳及びドイツ連邦内閣の関係閣僚との間で日独政府間協議を開催します。日独政府間協議は、幅広いテーマに関する日独間の協力を推進することを目的に、首脳と複数の閣僚が参加する日独間の新たな協議枠組みとして、昨年の4月の日独首脳会談の際に立ち上げが確認されたものであります。昨年、G7議長を務めたショルツ首相と岸田総理との首脳会談や政府間協議を通じ、基本的価値を共有する重要なパートナーであるドイツとの間で、G7広島サミットに向けた連携に加え、経済安全保障分野をはじめとする協力関係が一段と深まることを期待しています。