【さあ、投票へ。】福岡県知事選 オーバーツーリズムが課題の「インバウンド需要」 候補者の考えは
8日、九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の屋台を訪ねると、多くの観光客で満席の状態が続いていました。
■韓国からの観光客
「福岡、焼きめんたい、スゲえな。」
営業時間の短縮を余儀なくされたコロナ禍を乗り越え、活気を取り戻しています。現在は、コロナ禍前と比べても、客は2割から3割ほど増えました。それを支えているのは、福岡を訪れる外国人観光客、インバウンド客の存在だといいます。
■中洲十番・田中博臣 店主
「正直、ここまで外国人(観光客)が戻ってくるとは思っていませんでした。」
去年の春ごろには、1か月の売り上げが過去最高となりました。
この屋台では、英語や韓国語など21の言語でメニューが表示される2次元コードを用意しています。さらに、留学生をアルバイト従業員として雇うなど、インバウンド客を意識した対応を整えてきました。
■田中店主
「これだけ来てくれるのはうれしいですし、この外国人に対応しながら営業しないともったいないと感じている。福岡県全体が潤うように、福岡市中心だけでなく、食材とか観光地をアピールしてほしいと思います。」
インバウンド客の増加は、コロナ禍で打撃を受けた飲食店に大きな恩恵をもたらしています。
去年、福岡に宿泊した外国人は延べ691万人で、過去最多を記録しました。全国では6番目に多くなっていて、インバウンド客に選ばれていることが分かります。
旺盛なインバウンド需要について、福岡県知事選の各候補者はどう考えているのでしょうか。
吉田幸一郎氏(45)は「地域の経済を活性化させるため、観光による税収を増やす制度を考えていければ」としています。
服部誠太郎氏(70)は「欧米からの観光客も呼び込み、県内で宿泊してもらえるような取り組みをしていきたい」としています。
藤丸貴裕氏(48)は「県が設けている宿泊税を廃止し、さらに観光客を呼び込みたい」としています。
新藤伸夫氏(76)は「宿泊税を廃止し、少しでもリーズナブルに泊まってもらいたい」としています。
各候補者は、インバウンド客のさらなる呼び込みを進めたい考えです。
一方、全国各地で問題になっているのが「オーバーツーリズム」です。福岡でも、悲鳴を上げている場所がありました。
巨大な釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)で知られる福岡県篠栗町の南蔵院では、観光客が集中しすぎることで起こる「オーバーツーリズム」に直面しています。特に頭を抱えているのが、マナーを守らない一部の観光客の存在です。
■樋口淳哉記者
「(数時間前に)掃除をしたばかりですが、すでにゴミが。」
使用済みのトイレットペーパーがゴミ箱からあふれることも。こうした状況が続くため、日々の掃除が欠かせません。ほかにも。
■南蔵院・林覚竜 副住職
「ここに子どもを座らせて、上に乗せて写真を撮ろうとしたら、これがゴトンと落ちた。欠けていますね。」
さらに、禁止エリアで動画を撮影する観光客も少なくありません。
■林 副住職
「No Movie!」
注意すると、暴言を吐かれることもあるといいます。
■林 副住職
「私個人としては『そこまで厳しくしなくても』と思う反面、見逃すともっと迷惑行為をする人が出てくる。ほかの人たちも嫌な気分にならないように。」
英語などで表記した注意書きも設けましたが、景観を損ねるため、設置したくないのが本音です。
南蔵院の住職は。
■南蔵院・林覚乗 住職
「このままでは境内が破壊されます。現場を一回見てほしいと思う、ひどいところを。」
福岡県の次のリーダーには、インバウンド需要のさらなる取り込みだけでなく、「オーバーツーリズム」にも目を向け、効果的な対策を講じることが求められます。