【解説】「信頼して送り出せない」衆院選富山1区 自民候補者めぐり
上野キャスター
衆院選富山1区の候補者を決めるための「予備選」を検討、ということですが異例の展開ですね。
神林賢範記者
はい、自民党は衆院選の候補者については「現職優先」が原則です。田畑議員が再選への意欲を示す中、予備選が検討されるのは過去に例をみない状況です。
なぜ、こうした状況となったのか。田畑議員をめぐる政治とカネの問題を振り返ります。
田畑議員は、所属する安倍派からキックバックされたパーティー収入合わせて68万円を政治資金収支報告書に記載せず、2024年4月、党幹事長から”厳重注意”を受けました。
また、2024年6月に開催を予定していた政治資金パーティーでは、案内状に記載された「入金のみ」の項目が、政治資金規正法が禁じる「政治家個人への寄付」にあたる恐れがあると問題視されました。
田畑議員は当初「違法性はない」などとして詳細な説明は避けていましたが、問題を受けて自民党富山市連の幹部は2024年7月、市内で会合を開き、田畑議員に厳重注意を行いました。
その後、富山市内で会見した田畑議員は、問題視された「入金のみ」の項目について「政治とカネについて様々な議論がある中で不信を招く表現であったことを認識し深く反省している」とした一方「寄付金を求める意図は全くなかった」と述べ、違法性はないと改めて主張していました。
上野キャスター
招いた不信感が払拭されていないために予備選が検討される、ということなんでしょうか。
神林記者
出席者などに話を聞いていると「土台が揺らいでいる」という声がありました。
派閥による政治資金パーティーの裏金問題をはじめ、「ご入金のみ」の記載の問題、さらに田畑議員はいわゆる”統一教会”との接点について指摘を受けたこともありました。
そして関係者によると3日の会合では、田畑議員が2023年から東京で開催している別の政治資金パーティーについて「政治資金収支報告書に記載していないのではないか」と問う声も上がったと言います。
どれか1つについてではなく田畑議員のこれまでの行動について、総じて各議員からは「納得できない」「地元で支持者に説明できない」「組織の代表として信頼して送り出せない」といった声があがってきました。
上野キャスター
今後、仮に候補者の予備選挙が実施される場合には、どんなことが行われるんでしょうか。
神林記者
立候補者を受け付けた後、演説会や討論会を経て、議員投票や党員投票などを行って候補者を決める、といった流れになるとみられます。
上野キャスター
次の衆院選までには間に合うんですか?
神林記者
かなりタイトなスケジュールとなります。自民党では総裁選が9月12日告示、27日投開票で行われます。
その後の解散総選挙の実施がささやかれていて、それまでに予備選を行うとなると時間は限られています。
市連の幹部は仮に予備選を行うとすれば10月ではないかと話しています。
予備選を行うのか田畑議員をそのまま推すのか、市連は今後執行部会を開いて対応を検討する予定です。