「あっという間だった」全国最多の11期44年 “日本一人口が少ない町”の町長が退任 山梨
現職の市町村長で全国最多の11期44年にわたり町政を担った山梨県早川町の辻一幸町長(84)が15日、退任しました。多くの町民や関係者が見送る中、庁舎を後にした辻町長は「あっという間だった」と44年の任期を振り返りました。
午前9時半ー。
早川町 辻一幸 町長
「(午前)10時から退庁式。今日が来るのが待ち遠しかった」
自宅を出発した辻町長は、最後の勤務に向かいます。11期44年の在職期間は、国内の現職の市長村長で、最長です。
役場に向かう車内では…
早川町 辻一幸町長
「道が便利になれば、大きな車が入れるようになれば、災害に強い道になればと、いつも思いながら通っていた」
辻町長は1980年に40歳で初当選。「平成の大合併」の際には峡南地域で唯一、町単独での存続を決め、“日本一人口が少ない町”の舵取りを担ってきました。
町政運営の中で特に頭を悩まされたのは、災害時の孤立問題です。2014年の大雪災害や毎年のようにやって来る台風では、地域への支援が遅れぬよう力を尽くしました。
一方で、進む過疎化にあらがい、リニア中央新幹線への協力や後藤斎前知事の選対幹事長を務めるなど、町のために県政界にも精力的に参加しました。
長崎幸太郎 知事
「必ずしも常に同じ道を歩んできたわけではないが、人生を早川町のためにささげた方。個人的にも心から尊敬している」
早川町 辻一幸町長
「いつまでも元気でいられるわけでない。これが老化だということを感じた」
任期最後の日となった15日、町役場では最後の公務と退任式が行われました。
そして、退庁の時ー。横断幕を持つ町職員に送り出されると、役場前には多くの町民が詰めかけていました。
早川町民は
「本当に温厚で、いろいろな人の意見を率直に聞いてくれた」「誰にでも温かい人だった。さみしいですけど、『今までお疲れ様でした』という思い」
早川町 辻一幸 町長
「早川町でこれからも、いつまでかは分からないが生き続ける。(普通の)老人になろうと思う。本当にありがとうございました」
早川町 深沢肇 新町長
「(辻町長と)気持ちは同じ。『次はお前だぞ、頼むぞ』とエールを受け取った」
44年にわたり通い続けた仕事場を後にした辻町長。その表情は終始、笑顔でした。