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【追跡】ニセ物の特徴も明らかに...ネットショップに出回る“ニセ浄水カートリッジ” を追った!

2023年2月11日 10:00
【追跡】ニセ物の特徴も明らかに...ネットショップに出回る“ニセ浄水カートリッジ”  を追った!

水道水の不純物などを取り除く「浄水カートリッジ」。消費者庁は、ネットショップで販売される商品にニセ物が出回っていることが確認されたとして注意を呼びかけています。

取材班は、大手ショッピングサイトで正規品よりも安く売られていた浄水カートリッジを購入。独自に検査を行ったところ“ニセ物”だったことがわかりました。

さらに、販売業者を直撃取材すると、“中国側”と呼ばれるグループの存在が明らかに…。見え隠れする中国の存在。“ニセ浄水カートリッジ”流通の裏側を追いました。

■安く販売されているカートリッジに注意

蛇口に直接取り付けるタイプのリクシル社製の浄水カートリッジ。

正規品の販売価格は、3本で1万3千円あまりですが、大手ショッピングサイト内にあるネットショップを見ると半額や70パーセントオフで販売されている商品がありました。

取材班は安く売られていたカートリッジを2つのネットショップから購入してみました。

■メーカーで独自に検査 水がピンク色に…

ネットショップで購入したカートリッジを製造元のメーカーに持ち込み、独自で検査を行いました。

検査では、正規品とネットショップで購入したカートリッジを通した水にそれぞれに試薬を入れて、塩素が取り除けているかを調べます。試薬を入れると、ネットショップで購入したカートリッジを通した水はピンクに発色しました。メーカーによると塩素が残っていたため色が変わったといいます。

本来は80%以上の塩素が除去できるといいますが、私たちが購入したものは、わずか30%ほど。検査の結果、“ニセ物”と判明しました。

■“ニセ浄水カートリッジ”製品の中から“樹脂”?

さらに、別のネットショップで販売されていたカートリッジを切断して、水を通す内部の材質を調べたところ、芯材が正規品で使用されているセラミックではなく、樹脂のような物が確認されました。

本来使われている材質ではなく、この商品もニセ物でした。

■“ニセ浄水カートリッジ” ニセ物を見分けるポイントは「刻印」?

“ニセ浄水カートリッジ”を見分けるポイントはあるのでしょうか。

リクシル社製のカートリッジの正規品(右)とニセ物(左)を比べてみます。箱のデザインや印刷された字の色合いも同じで、見分けるのは困難です。

メーカーによると外見から見分けるポイントがあるといいます。その一つが箱に表示されている「ロット番号」です。ニセ物も、正規品と同じくロット番号が印刷されているものがありますが、本来は印刷ではなくすべて「刻印」がされていて、凹凸感があるということです。

また、「○○タイプ」が「○○タイブ」と誤字のあるものも流通しているといいます。このほか、正規品は箱の底部にミシン目がありますが、ニセ物はミシン目がないものもあるということです。

さらに、購入前に見分けるポイントとして「販売価格」があげられます。正規品と比べて、ネットショップで販売されているカートリッジは価格が安いといった特徴があるといいます。

ネットショップに流通する“ニセ浄水カートリッジ”。取材班は、販売していたネットショップの運営責任者のもとを訪ね、直接話を聞きました。

■ショップの運営責任者“小遣い稼ぎではじめた”

ショップの運営責任者A氏は取材に…

「僕自身は仕入れには携わっていなくて、全て仕入れから金銭の授受とかまで全部任せています」

“小遣い稼ぎ”ではじめたというA氏。仕入れなどは見ず知らずの“第三者”に任せていると語りました。

さらに…

記者「(仕入れは)どこからどういう商品を仕入れるという相談はあった?」
A氏「中国という話を伺いました」

A氏の口から語られたのは、“中国”という言葉でした。

■“ショップ名義貸し”背後に見え隠れする“中国”グループ

A氏は自身の名義でショップを開設し、知人の紹介で開設手続きをサポートしたB氏らのグループに運用を任せたといいます。ショップはB氏らから「中国側」と呼ばれるグループの手に渡り、この「中国側」が仕入れや発送などすべてを行っていたといいます。

A氏は名義を貸す見返りとして、 月の売り上げの0.5%を報酬として受け取る契約だったといいます。

---記者:「あなたのショップから購入し、メーカーで検査したところニセ物だと明らかになりましたが?」
A氏「自分の考えが甘かった。ニセ物を提供することに加担したことを反省しています」

私たちの取材をうけ、A氏は全ての販売を停止しました。
さらに私たちは、A氏から運用を任されていたB氏にも取材。するとー。

「ショップの開設サポートはしているが、商品の仕入れなど実際の運営は全て“中国側”でやっているから一切関わっておらずわからない。正規品を販売していると認識していた」

B氏は“全て中国側でやっている”と主張しました。見え隠れする“中国側”と呼ばれるグループの存在。

■「第三者に任せていて何もわからない」…名ばかりの責任者

さらに別のネットショップの責任者にも話を聞いてみると…

記者:「自身の名前でショップを開設しているが、自身で運営している?」
運営責任者「いえ、違います。名義は自分の名前になっていますが、仕入れや販売は第三者、他人がやっています」

運営責任者になっているが、実際の運営は第三者が行っていて、一切関わっていないといいます。

記者「任せているグループは、どういうグループ?」
運営責任者「実際に会ったことも電話したこともなく、ほとんどがLINEのやり取りだけでどういった人なのか…日本人かどうかも分かりません」

記者「ご自身のショップで販売されているカートリッジがニセ物だったがどう思う?」
運営責任者「それは全くもう・・・全く想像もしていなくて驚いてます」「仕入れに関わっていないので、責任を取れと言われてもすごく困ります。何も考えずに はじめてしまったのでどうしたらいいか分からないです」

名義を貸す見返りに、月の売り上げの1パーセントほどを報酬として受け取っていたという運営責任者。報酬目当てに安易にはじめてしまったことを後悔しており、ショップはすぐに閉じると話しました。

■国内生産のはずが中国から大量のニセ物…リクシルは直販のみに

これは、2022年5月頃、税関により摘発された“ニセ浄水カートリッジ”。段ボールにすき間なく詰め込まれています。国内でしか生産されていないはずの浄水カートリッジが、中国から大量に持ち込まれていたのです。

リクシル 事業部商品責任者はー

「(発送元は)国だと中国です。300とか400という単位で見つかっています」

リクシル社は中国などからのニセ物の流入を防ぐため、税関への輸入差し止めの申し立てを申請しました。さらに、2023年4月からは、自社の公式サイトですべての浄水カートリッジの直販を開始し、消費者に公式サイトでの購入を呼びかけています。

消費者庁は、安い価格に注意し、購入する前に正規のメーカーに確認することなどを推奨しています。


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