原発「60年超」改正案、“異例”の多数決で了承 規制委
政府が原発の積極活用に政策を転換しこれまで最長60年としてきた運転期間を事実上延ばす方向で制度改正を進める中、原子力規制委員会は13日夜、この制度改正に対応するための新たな規制制度を決定し法律の改正案を了承しました。しかし委員5人のうち1人が最後まで反対し多数決による異例の了承となりました。
原子力規制委員会は13日夜、臨時会合を開き、原発の事実上の「60年超運転」容認に向けた新たな規制制度を決定し原子炉等規制法の改正案を了承しました。
これまで原発の運転期間は原則40年で、規制委員会は40年を迎える際に一度だけ延長の可否を審査。合格すればプラス20年最長60年まで運転期間を延長できる仕組みでした。
13日に決定された新たな規制制度は、運転開始から30年を経過してから10年毎に規制委員会が運転延長の可否を審査。合格した原発に対してはその時点からプラス10年の運転延長の認可を繰り返す仕組みです。
これは政府が現在最長60年としてきた原発の運転期間から安全審査で止まっていた時間分を除外するよう制度改正を進めていることに対応したものです。
しかし13日の委員会では5人の委員のうち地震・火山のリスクについて審査を担当する石渡委員が「審査を厳格に行えば行うほど将来より高経年化した原子炉が運転することになる」などとして最後まで反対しました。
また賛成した委員からも「急かされて議論してきた」「他省庁との関係もあるのだろうが我々は外のペースに巻き込まれずに議論すべきだった」などの意見が出されました。
政府が原子力政策を大きく転換する中、規制委員会で行われた重要な決定で全会一致とならず異例とも言える多数決による了承となりました。