天皇皇后両陛下の「令和流」、愛子さまは大学卒業、悠仁さまは成年へ…令和6年皇室の注目は
様々な行事が再開された2023年。天皇皇后両陛下は初めて国賓としてインドネシアをご訪問、皇后雅子さまにとっては実に21年ぶりの国際親善訪問でした。令和流が見えてきた皇室のこの1年を振り返りながら、令和の6年目、新しい年の展望を考えます。
(社会部 笛吹雅子)
■天皇皇后両陛下 見えてきた「令和流」
2023年(令和5年)は、両陛下は結婚30年、皇后さまは60歳の誕生日を迎えられた節目の年となりました。コロナ禍が落ち着きを見せ、様々な儀式や行事が再開された1年でした。新年2日に3年ぶりに行われた新年一般参賀では、天皇陛下は皇居に集まった人々を前に「3年の月日を経て、きょう、こうして皆さんと一緒に新年を祝うことを誠にうれしく思います」と喜ばれました。
両陛下は6月には国賓としてインドネシアをご訪問。令和になって初めての国際親善訪問で、21年ぶりに国際親善での外国訪問に臨んだ皇后さまが笑顔で交流される姿が話題となりました。また、両陛下が一人一人と丁寧に会話を重ねられる姿は、その後の国内でも度々見られました。
2024年前半には、コロナ禍などで延期されてきた国賓としてのイギリス訪問が見込まれ、両陛下共に留学経験のあるイギリスでどのように交流されるのか注目されます。
ご活動が本格化した2023年は、両陛下ならではの「令和流」が見えてきた年でもありました。その一つが、両陛下が始められた「おもてなし」。
外国要人を招いた昼食会が4年ぶりに宮殿で再開され、11月にベトナム国家主席夫妻が招かれた昼食会では、両陛下の発案により「日本食」の前菜が提供され、「日本酒」での乾杯が行われました。皇后さまは着物で出迎えられ、10日程前に行われたキルギス大統領夫妻との昼食会でも和装でした。宮殿では長らく洋食が提供されてきましたが、両陛下は日本の文化を紹介したいと日本食の提供を希望されてきたそうです。日本酒の乾杯用に「江戸切子」のグラスが用意されました。料理を担当する「大膳」と両陛下が打ち合わせをされてきたということで、まずは前菜から日本食でとなったようです。
2024年は国賓の招待も再開されるとみられ、晩さん会などで両陛下が思い描かれる「令和のおもてなし」スタイルと国際親善の姿がより見えてくる年になりそうです。
結婚30年のご感想で、両陛下は「互いに助け合いつつ、喜びを分かち合い、そして時には悲しみを共にし、これまでの歩みを進めてこられた」とつづられました。2003年に適応障害と診断された皇后さまは療養が20年来続いていますが、ご感想の文書などで「お気持ちをストレートにお出しになれるようになった」としみじみ話す側近もいて、ご体調には依然波があるものの回復に向かわれていることが感じられます。今後、「皇后さまらしい」笑顔とご活動がより見られるようになるのではと思っています。
■愛子さま大学卒業 本格公務へ?
学習院大学文学部日本語日本文学科4年生の長女の愛子さまは、大学入学後、コロナ禍によりオンラインでの授業が続いていましたが、4年生からキャンパスへの通学を始められました。中世の和歌についての論文を提出され、春には大学を卒業予定です。
2023年は両陛下や友人と外出する機会が増え、愛子さまが雅楽や日本画鑑賞などで日本の伝統文化に深い関心を寄せられている様子が度々見られました。自身が学んだことや感じたことを両陛下に率直に伝えているところを目にすることがあり、皇后さまのご感想に「まだあどけないところも残る愛子ではありますが、いろいろな時に私たちを助けてくれるようにもなってきたと感じます」とあるように、両陛下を支える大きな存在となられているようです。
今は学業優先の愛子さまが、大学卒業後の進路をどうされるのか。留学は先になると思われますが、学業を続けられるのか、就職、あるいは公務中心の生活になるのか。2024年は単独公務デビューし、お言葉を述べられる姿が見られるのではないかと期待されています。
■上皇ご夫妻“卒寿” 過去の出会い大切に穏やかな日々
上皇さまは2023年の12月に90歳、卒寿の誕生日を迎えられ、上皇后さまも2024年10月卒寿に。コロナ禍で外出を控えてきた上皇ご夫妻は、この1年はようやく外出の機会を増やされてきました。
4年ぶりに京都と奈良をご訪問、栃木県の那須御用邸や長野県の軽井沢など地方でのご静養も再開し、これまで関わりのあった人々や土地を再訪される年となりました。展覧会やコンサートの鑑賞も増え、外出先では上皇ご夫妻がいつも手を取り合い、いたわり合い、会話しながら歩かれる様子が見られました。
上皇さまは確かな記録の残る天皇の中で最長寿で、今もなお精力的に魚類研究を続けられています。夕食後には侍従とオセロや将棋を楽しまれることもあるといいます。公務から退き、規則正しく静かに穏やかに日々を過ごされているという上皇ご夫妻。側近は2024年もご静養には行っていただきたいと話していて、まだ詳細は決まっていないということですが、久々に葉山の海岸を歩かれる姿も見られるかもしれません。
■秋篠宮ご夫妻と佳子さま ますます多忙な日々、悠仁さまは成年皇族に
様々な行事が4年ぶりに再開され、秋篠宮ご夫妻と佳子さまは、それぞれ公務に多忙な日々を送られてきました。2023年、秋篠宮邸の改修工事が終わり、二女の佳子さまはご一家の住む本邸とは離れて生活をされるように。ご夫妻は4年ぶりの国際親善訪問としてベトナムへ、佳子さまは自身2回目の国際親善訪問として南米ペルーを公式訪問されました。
秋篠宮家の大きな注目は、9月に18歳の成年を迎えられる長男の悠仁さまです。成年皇族となれば新年祝賀の儀や一般参賀、宮中祭祀など様々な公務や行事に臨まれることになりますが、当面は学業優先とみられます。この春に筑波大学附属高校3年生になられることから、天皇陛下が「冠」を授けられる「成年式」は、翌年高校卒業後に行われる予定です。悠仁さまは、2023年、初めてトンボの学術論文を共同執筆するなど、幼い頃からの関心を伸ばされてきました。幼い頃から、野菜づくりや稲作も続けられています。秋篠宮さまに次ぐ皇位継承順位第2位の悠仁さまが、成年を迎えた記者会見でどのようなことを述べられるか、関心が高まりそうです。
2024年、20代最後の1年を過ごされるのは、二女の佳子さまです。全日本ろうあ連盟の嘱託職員でもある佳子さまは、手話に関わる公務に取り組む一方、お言葉の中で「ジェンダー平等」や「偏見が作り出す社会の雰囲気や圧力」についても発信し、「誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを願う」と繰り返し述べられてきました。「ご結婚」について、秋篠宮さまは話し合いなど「特に今はありません」と述べられていますが、引き続き関心が寄せられています。
■安定的な皇位継承と皇族数の減少 引き続き課題に…
自民党は2023年11月、安定的な皇位継承のあり方について議論するため、麻生副総裁がトップの新たな懇談会を立ち上げました。皇位継承をめぐっては、皇族の数を確保するため、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎えることを可能とする案」などを盛り込んだ有識者会議の報告書が、2022年、国会に提出されています。
林官房長官は記者会見で「衆参両院議長のもとで検討が行われているものと承知している」と述べていて、悠仁さまが成年を迎えられる2024年、議論の深まりは見られるのか、法律を整える動きがあるかも注目されます。
■令和6年の皇室への期待
2024年、令和の6年目は、両陛下の「令和流」がより目に見えるようになることが期待されると共に、大学卒業や成年といった人生の節目を迎える若い世代の皇族方が存在感を高められる1年になりそうです。