被害訴える人に「誠実に向き合ってまいります」 ジュリー社長が謝罪…性加害「知らなかった」
ジャニーズ事務所のジュリー社長が14日夜に公開した動画で、ジャニー喜多川さんの性加害問題について謝罪しました。また、被害を訴えてきた人に対しては、「カウンセラーをはじめ、専門家の力もお借りしつつ、誠実に向き合ってまいります」としています。一方、未成年の性被害の相談が寄せられるNPOは、未成年が被害を打ち明けにくい特殊な事情があるといいます。
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「ジャニーズ事務所」の社長で、ジャニー喜多川さんのめいにあたる藤島ジュリー景子社長が、14日夜に公開された動画で姿を見せました。1分9秒の動画で4回、頭を下げ、一連の騒動について謝罪しました。
ジャニーズ事務所 藤島ジュリー景子社長(ジャニーズ事務所発表の動画より)
「この度は創業者・ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりおわび申し上げます」
ジャニー喜多川さんをめぐっては、今年3月にイギリスのBBCが“性的虐待を受けた”という男性らを取材したドキュメンタリー番組を放送しています。日本語版の記事には、「日本ポップス界の『捕食者』」というショッキングな見出しが躍りました。
先月12日には、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが“顔出し”・“実名”で告発をしました。
元ジャニーズJr. カウアン・オカモトさん(先月12日)
「初めて性行為を受けたのは2012年3月、中学を卒業する直前だったと記憶しています。合計で15~20回ほどジャニーさんから性的被害を受けました」
11日には、ファンらでつくる有志の団体が、約1万6000人分の署名を送るなど、ジャニーズ事務所側の対応を求める声が広がっていました。
ファン有志団体 発起人
「私自身ファンの代表ではないが、いちファンとして非常に残念」
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ジャニー喜多川さんをめぐっては1999年、「所属する少年らにセクハラ行為をしていた」などと週刊文春が報じ、これに事務所側が、「名誉を傷つけられた」として損害賠償などを求め提訴しました。2002年の一審で東京地裁は、少年らの証言について「高い信用性は認めがたい」などと判断しました。
しかし、2003年の二審の東京高裁では一転、「少年らの証言は信用できる」として、“セクハラ行為”を指摘した記事の重要な部分について真実性を認めました。この二審の判決が2004年に最高裁で確定しています。
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14日、社長が謝罪する動画と共にジャニーズ事務所が文書で公表したのは、各方面から寄せられた質問に対する回答です。
「BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発は事実か?」という質問に対してジャニーズ事務所は、「当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める・認めないと一言で言い切ることは容易ではなく、さらには憶測による誹謗(ひぼう)中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならないことから、この点につきましてはどうかご理解いただきたく存じます(※一部抜粋)」と回答しました。
「ジャニー喜多川氏の性加害を事務所、またジュリー社長は知らなかったのか?」という質問には、「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と回答しました。
今後の対応として、被害を訴えてきた人に対しては、「カウンセラーをはじめ、専門家の力もお借りしつつ、誠実に向き合ってまいります」としています。
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発表を受けてカウアン・オカモトさんはSNSで、「ジュリーさんの発表を観ました。それを受けて近日中に動画出します」と投稿しています。
AP通信は社長の謝罪動画について伝えるとともに、「このスキャンダルは、遅れている日本のセクハラ対策への警鐘となった」と報じています。
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今回、ジャニーズ事務所は性加害の有無については明言を避けていますが、未成年の性被害に関する相談が寄せられるNPOによると、未成年が被害を打ち明けにくい特殊な事情があるといいます。
性暴力の被害相談を受けるNPO法人「ぱっぷす」 金尻カズナ理事長
「性に関しては、気軽に話してはいけないという社会通念がありますので、性暴力被害にあったとしても被害を相談するに至らない場合も多い。親御さんもお子さんも1人で抱え込まないことが大切だと思っております」
(5月15日放送『news zero』より)