代表選手も…家族と連絡とれないトンガ人は
トンガの海底火山噴火から2日以上たった17日も被害の全容はわからず、日本にいるトンガ人は家族と連絡がとれない状態が続いています。ラグビー日本代表・フィフィタ選手が取材に応じ、今の胸の内を語りました。
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大規模噴火の前日、14日に捉えられた映像では、海底火山から空に届くほどの大きな噴煙があがり、煙の中でさらに爆発する火山灰の黒い雲がありました。その周りでは、複数回、稲妻も走っていました。
この翌日の15日、トンガ沖で発生した海底火山の大規模噴火。その衝撃波はすさまじく──
フィジー在住の女性
「窓も、ドアも、何もかもが激しく揺れました」
トンガからおよそ800キロ離れたフィジーでも、大きな音や揺れを感じるほどだったといいます。
太平洋沿岸の広い範囲で「潮位の上昇」も確認され、南米ペルーの海岸では、2人が溺れ死亡しました。
およそ8000キロ離れた日本でも、気象庁から全国各地に津波警報や注意報が発令されました。鹿児島・奄美市では、高台の方に車で避難しようとしている人たちで渋滞する場面も見られました。
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発生から2日たっても被害の全容がつかめていない、現地の状況。
日本に住むトンガ出身の男性のもとに、現地にいる家族から送られてきたのは──
日本在住・トンガ出身の男性
「(トンガにいる妹から)『黒い雨が降ってきた』って話があった。トンガの飲み水は雨をためて飲むのがほとんど。黒くなって汚くなって飲めなくなっちゃうんじゃないかな」
写真が送られたのを最後に、家族からの連絡が途絶えたといいます。家族への電話について──
日本在住・トンガ出身の男性
「反応ないですね。いまスピーカーで出してるけど何も鳴らない。不安で仕方ないですね。心配で仕方ないですね」
オーストラリア当局は、現時点で多数の犠牲者が出ているとの情報は入っていないものの、道路や橋などには甚大な被害が出ているとしています。
トンガは、複数のラグビー日本代表選手の母国でもあります。
そのひとり、フィフィタ選手が取材に応じ、今の胸の内を語りました。
ラグビー日本代表・フィフィタ選手
「(15日から家族に)電話がつながらなくて。夜は眠たいんですけど、すごく心配で…何回か起きてしまいます。(ラグビーの)練習中、頭にトンガの事を考えてしまう」
家族が大好きで、毎日1回は電話をしていたといいます。
噴火後に母親に送ったSNSのメッセージには、「今どこにいる?」「連絡をください」といったものがありました。
およそ1時間おきに電話をかけ続けた跡も残されていました。
フィフィタ選手は「早く家族の声がききたいです。寝る前、このあともう一回電話してみて、明日の朝、また電話しようかなと思います」と言いました。
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三重県鳥羽市。17日になっても被害が続いていたのは、この時期、最盛期を迎えるカキの養殖です。
カキ養殖業を営む孝志丸水産 代表
「まるっきり、ひっくり返ってしまったんです」
潮位の上昇で養殖に使ういかだが転覆。さらに、いかだを留め置くためのロープも海中で絡まり、カキが割れたり落ちたりしている可能性があるといいます。
カキ養殖業を営む孝志丸水産 代表
「どれくらい損失しているか、数字的にまだわからない。がっかりした」
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海底ケーブルが遮断され、ネット環境の復旧などにはまだまだ時間がかかるというトンガ。オーストラリアとニュージーランドは17日、現地に哨戒機を派遣し、詳しい状況を調べています。
(1月17日放送『news zero』より)