島消失…トンガ噴火の被害は 農業に懸念も
南太平洋の島国トンガで起きた大規模な噴火をめぐっては、衛星写真から火山周辺の陸地が消失したことが明らかになりましたが、被害の全容はいまだわかっていません。一方、農林水産省は火山灰により今後、日本の農業などに影響が出ないか懸念しています。
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いまだ被害の全容がみえないトンガの大規模な噴火。海底火山は、噴火の前日(14日)の時点で、すでに爆発を起こしながら大きな噴煙を上げ、その周りでは稲妻も見られました。
海底ケーブルが切断され、現地と連絡をとるのが難しい状況が続く中、国連の関係機関がとらえた衛星写真に噴火の威力を物語る状況が映し出されていました。
今回、噴火が起きたのはトンガから約60キロの島。衛星写真では、今月上旬にはその島が噴煙を上げる様子が確認できますが、噴火後には、あったはずの島が消えてしまっています。
島がなくなってしまうほどの衝撃だった今回の噴火。
日本やアメリカなど世界各地で潮位が上昇し、1万キロ以上離れたペルーでは2人が溺れ死亡しました。
トンガ当局から日本政府へ寄せられた情報によると、トンガでは少なくとも2人が死亡、数十棟の家屋が全半壊しているということです。
夫とともにトンガで暮らしていたイギリス人女性も、津波に巻き込まれ亡くなりました。女性の兄は「彼女は私たち家族の中心でした。家族の心の中心です。その中心が今、いなくなってしまった」と話しています。
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日本でも潮位の上昇により、各地で被害が確認されました。農林水産省によると、3県(高知・徳島・宮城)で合わせて30隻ほどの漁船が沈没するなどし、4つの県(宮城・三重・和歌山・沖縄)でカキやワカメの養殖施設が損傷するなどしています。
また、農水省では、火山灰により米など農業への中長期的な影響が出ないか注視していくということです。