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「何の前触れもなく…憤り」送迎バスが運転手不足で“契約打ち切り”に 園・保護者ら困惑

2025年2月14日 20:49
「何の前触れもなく…憤り」送迎バスが運転手不足で“契約打ち切り”に 園・保護者ら困惑

送迎バスを請け負う業界大手の会社が、首都圏の幼稚園や保育園に対し、運転手の派遣を来月いっぱいで打ち切る通知をしていたことがわかりました。園や保護者らは対応に追われています。

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14日午後、神奈川・川崎市の幼稚園。元気いっぱい遊んだ後は…園のバスに乗って、お母さんの元へ。

幼稚園バスを利用 園児の母(30代)
「3年間利用してます。断然便利です、バスがあると。働いているお母さんもバスがあった方がいい」

しかし、この便利な幼稚園バス、“存続の危機”にさらされているのです。

園長の元に届いたのが…

幼稚園の園長
「3月末をもって契約終了っていう通知。24日付になっているけど実際に届いたのは1月29日」

契約しているバスの運行会社「みつばモビリティ」からの解約通知です。通知によると4月以降、園に運転手が派遣されず、バスによる園児の送迎ができなくなる可能性が出てきてしまうのです。

幼稚園の園長
「最初は本当にびっくりして、何のことか理解できなかった。20何年間お付き合いしている中で、何の前触れもなく通知がくるのは非常に憤りを感じた」

契約打ち切りを通知した「みつばモビリティ」は首都圏を中心に送迎バスの運行管理を請け負う業界大手の会社です。

みつばモビリティ担当者
「今、運転手が取り合いになっていて、好待遇を求めて転職する運転手が相次いでいること。高齢化による運転手の定年退職などで深刻な運転手不足に陥ったため」

背景にあるというのがいわゆる「2024年問題」。去年4月から始まった運転手の時間外労働の規制強化により、バス業界全体で人手不足が生じているのです。

幼稚園側は…

解約通知がきた幼稚園の園長
「ドライバーが不足しているのは理解していますが、幼稚園を運営していくうえでバスの運転手は絶対にいないと困る」

この幼稚園でバスを利用している園児は全体の3割ほど。その保護者はこの問題について…

バス利用する園児の親
「(家と幼稚園が)離れていて、雨や風や天候に左右されないので便利」

2人目を妊娠中の母親は…

妊娠中 バスを利用する園児の親
「いろいろ幼稚園あるけど、バスも決め手の1つになりました」

契約打ち切りの知らせにバスの運転手も困惑を隠せません。

みつばモビリティから派遣 バスの運転手(71)
「園長から(通知の)話を聞いて、その翌日(会社の)営業さんから話があった。営業さんの話だと、高齢のドライバーがいるところは解約。ただ私一応、定年までまだ丸2年あったんで、そういう判断に至った理由が知らされていないのが非常に不満です」

幼稚園は「みつばモビリティ」とは別の会社と契約し、同じ運転手を継続して派遣してもらえるようにしたといいます。

打ち切り通知が届いた川崎市内の別の幼稚園では…

川崎ふたば幼稚園 小川哲也園長
「お子さんと保護者の死活問題。そこに何も誠意がないのは今も憤っています」

4月以降、別の会社に切り替えることでバス送迎を継続できることになったといいますが…

川崎ふたば幼稚園 小川哲也園長
「5割以上委託料金が高くなってしまうということだった。探せただけマシだった」

私たちが話を聞いた中には、4月以降契約できる会社が見つからないという幼稚園もありました。

幼稚園などの送迎バスの現状に詳しい専門家は、この問題は今後、全国各地で起こってくる可能性があると指摘。

横浜市立大学国際商学部・黒木淳教授
「困った幼稚園が多くあると思うけど、ギリギリの状況でバス送迎会社とやってきて、今は退職者がバンと出てしまって、今後も傾向としては同じような状況が続く」

ドライバーの高齢化などで、幼稚園や保育園の送迎バスの運転手が全国的に減っているため、運転手の待遇を改善し、運転手になりたい人を増やす対策が必要だということです。

最終更新日:2025年2月14日 23:51