リゾート開発に揺れる沖縄・竹富島の現状
自然豊かな人口約350人の沖縄・竹富島には、沖縄の伝統的な赤瓦屋根の町並みが今も残され、毎年多くの観光客が訪れる。これまでリゾート開発を拒んできた竹富島に、本格的なリゾート施設が建設されることになった。リゾート開発に揺れる竹富島の現状を取材した。
手がけるのは旅館再生のプロとして知られる「星野リゾート」。星野佳路社長(50)は竹富島を選んだ理由を「観光がここまで地域の中心となっている沖縄の離島を考えると、自分の専門分野で地域に貢献できるということは、やりがいとして非常にある」と話す。
リゾート施設の建設が予定されているのは、集落の中心部から約1キロ離れた島の東部で、星野社長が代表を務める「竹富土地保有機構」が保有する約83ヘクタールの土地のうち6.7ヘクタール。星野リゾートは、景観を守るため、赤瓦で平屋建てのコテージ50棟とプールなどを建設すると説明している。
星野社長は2年にわたって竹富島に十数回通い、住民に説明を行ってきた。リゾート開発に賛成する住民がいる一方で、反対の住民もいる。反対派は、自然が破壊される上、観光客が民宿などからリゾート施設に流れて島に金が落ちなくなると主張している。星野社長はこれに対し、環境問題については「西表島の原生林と(建設予定地を)一緒に考えている方がおられるけど、外来種の(植物の)ギンネムが生えている、昔は畑だった場所。エネルギーや廃水には十分配慮している」と述べている。また、島の民宿との競合については「高級旅館、リゾートが、地域の民宿とダイレクトに競争することは恐らくないと思う。大事なことは、島に来る人や滞在する人を増やすこと。民宿の方々の需要も必ずプラスになると確信しています」と話す。
3月に行われた島民の意思を集約する公民館の総会で、島民の過半数にあたる159人がリゾート建設に賛成した。反対は19人だった。星野リゾートはこれを受けて、竹富町長に工事の着手届を提出した。
一方、反対派は、「リゾート開発の賛否を取る」と一切事前に告知されないまま、大量の委任状で決議されたとして、あらためて無記名での島民投票を求めていく考え。
リゾート施設は今年夏にも工事が始まり、12年にオープンする予定。