【NNNドキュメント】遺棄される犬たち… 元ブリーダーが語る"ペットビジネスの闇" NNNセレクション
徳島県の山奥などで相次ぐ柴犬や秋田犬の遺棄。多くがメスで出産の痕もあり、ブリーダーが育てた「繁殖犬」とみられている。国は一昨年、メス犬が交配できる年齢は6歳以下といった制限を設けた。しかし、その制限が悪質なブリーダーによる犬の遺棄を増やしている可能性も。
◇◇◇
ディレクター
「(出産を繰り返した後の)犬はブリーダーにとってどういう存在になるわけですか?」
元ブリーダー
「荷物やね」
ブリーダーのもとで子犬を産んだ繁殖犬とみられる犬たちが、相次いで捨てられる。
徳島県内では去年から今年にかけ、秋田犬5頭が相次いで保護され、うち3頭がメス犬でした。
保護した女性
「秋田犬って天然記念物なので、大事にされているはずなんですけど。なんでこんな所(公衆トイレ)に秋田犬がいるんだろう、と」
保護した女性によれば、秋田犬は飲み水が欲しかったのか公園内の公衆トイレから出てきたといいます。極度の脱水症状だった上に、陰部からは出血していました。
保護した女性
「年齢は2歳くらいかなと」
出産直後と思われるこの秋田犬は、その後、動物保護団体に預けられました。
ハート徳島・東條仁志さん
「色々考えられますけどね。けれど、やっぱり繁殖目的で飼養されていた可能性もありますし」
浮かび上がったのは、ペットビジネスの闇。2年前までブリーダーをしていた男性が取材に応じました。
元ブリーダー
「生き物であって犬だけど、ひとつの“物”みたいな考えになる。できた時は『かわいいな、かわいいな』と思うけれど、『あ、これ何万やな。この子ちょっと色が変わっているから、この子(値段が)高くなるな』とか、そういうような見方がどんどん強くなっていく」
2021年6月から、繁殖犬の出産回数と交配年齢に制限が設けられ、メス犬の交配できる年齢は原則6歳以下と制限されました。
ディレクター
「6歳以降の(交配できない)ワンちゃんっていうのはブリーダーにとってどういう存在になるわけですか?」
元ブリーダー
「荷物やね。おじいさん、おばあさんになっても6年7年は生きていくけどね。だけど、その生きていく間っていうのは、この子は食事与えるにしても、すべてタダになります。“ただ飯食い”っていうやつね」
自分では繁殖犬を捨てることはできなかったという男性。ブリーダーを辞めてからも、残った犬の世話を続けています。
私たちは、あるブリーディング施設で働いていた元従業員から、その実態を聞き出すことができました。
元従業員
「半年に1回とか、急に10頭消えたりとか、そういう感じで(繁殖犬などが)いなくなります。メスでいえば、おばあちゃん犬だったりとか体調の悪い子、下痢が続いたりとか、そういう感じの子が捨てられる」
命を粗末にすることに耐えきれず、この元従業員は、施設をやめました。
元従業員
「急に真っ暗な何もない山に捨てられたりとか、それで1人でさまよって、お腹もすかせて亡くなってしまう子たちもいるので…。やっぱり犬もうれしい時はうれしいし、悲しい時は悲しい気持ちがあるということを、わかってほしいんです」
今年4月には、香川と徳島の県境で5匹の柴犬が一度に見つかっていました。
動物保護活動に取り組む女性
「みんな車に寄って来るんですよね」
ディレクター
「車で連れて来られているから?」
人間に捨てられても、人間に頼るしかない…。
動物保護活動に取り組む女性
「なんかやっぱり、頼るのが人間というのがつらいところですよね」
犬歯と声帯の一部を切られていた状態で見つかった柴犬「マザー」。
ディレクター
「歯はなんで削られた?かむから?」
保護した元ブリーダー
「かまれても(犬歯がなければ)ケガせんやないですか」
今は、新しい飼い主のもとで元気に暮らしていました。
柴犬の新たな飼い主
「うちではチャコちゃんになりました。子犬ってペットショップとかで見たら、すごくかわいいんですけど、その裏があるんだなっていうのを考えさせられますね」
ペット人気が高まるなか、行われている"命の大量生産"。言葉のないあなたに代わって伝えたい。その犬たちは、心を持った命です。
2023年11月26日放送 NNNドキュメント’23『言葉のないあなたのために さまよう繁殖犬とペットビジネスの闇』をダイジェスト版にしました。
◇◇◇
ディレクター
「(出産を繰り返した後の)犬はブリーダーにとってどういう存在になるわけですか?」
元ブリーダー
「荷物やね」
ブリーダーのもとで子犬を産んだ繁殖犬とみられる犬たちが、相次いで捨てられる。
徳島県内では去年から今年にかけ、秋田犬5頭が相次いで保護され、うち3頭がメス犬でした。
保護した女性
「秋田犬って天然記念物なので、大事にされているはずなんですけど。なんでこんな所(公衆トイレ)に秋田犬がいるんだろう、と」
保護した女性によれば、秋田犬は飲み水が欲しかったのか公園内の公衆トイレから出てきたといいます。極度の脱水症状だった上に、陰部からは出血していました。
保護した女性
「年齢は2歳くらいかなと」
出産直後と思われるこの秋田犬は、その後、動物保護団体に預けられました。
ハート徳島・東條仁志さん
「色々考えられますけどね。けれど、やっぱり繁殖目的で飼養されていた可能性もありますし」
浮かび上がったのは、ペットビジネスの闇。2年前までブリーダーをしていた男性が取材に応じました。
元ブリーダー
「生き物であって犬だけど、ひとつの“物”みたいな考えになる。できた時は『かわいいな、かわいいな』と思うけれど、『あ、これ何万やな。この子ちょっと色が変わっているから、この子(値段が)高くなるな』とか、そういうような見方がどんどん強くなっていく」
2021年6月から、繁殖犬の出産回数と交配年齢に制限が設けられ、メス犬の交配できる年齢は原則6歳以下と制限されました。
ディレクター
「6歳以降の(交配できない)ワンちゃんっていうのはブリーダーにとってどういう存在になるわけですか?」
元ブリーダー
「荷物やね。おじいさん、おばあさんになっても6年7年は生きていくけどね。だけど、その生きていく間っていうのは、この子は食事与えるにしても、すべてタダになります。“ただ飯食い”っていうやつね」
自分では繁殖犬を捨てることはできなかったという男性。ブリーダーを辞めてからも、残った犬の世話を続けています。
私たちは、あるブリーディング施設で働いていた元従業員から、その実態を聞き出すことができました。
元従業員
「半年に1回とか、急に10頭消えたりとか、そういう感じで(繁殖犬などが)いなくなります。メスでいえば、おばあちゃん犬だったりとか体調の悪い子、下痢が続いたりとか、そういう感じの子が捨てられる」
命を粗末にすることに耐えきれず、この元従業員は、施設をやめました。
元従業員
「急に真っ暗な何もない山に捨てられたりとか、それで1人でさまよって、お腹もすかせて亡くなってしまう子たちもいるので…。やっぱり犬もうれしい時はうれしいし、悲しい時は悲しい気持ちがあるということを、わかってほしいんです」
今年4月には、香川と徳島の県境で5匹の柴犬が一度に見つかっていました。
動物保護活動に取り組む女性
「みんな車に寄って来るんですよね」
ディレクター
「車で連れて来られているから?」
人間に捨てられても、人間に頼るしかない…。
動物保護活動に取り組む女性
「なんかやっぱり、頼るのが人間というのがつらいところですよね」
犬歯と声帯の一部を切られていた状態で見つかった柴犬「マザー」。
ディレクター
「歯はなんで削られた?かむから?」
保護した元ブリーダー
「かまれても(犬歯がなければ)ケガせんやないですか」
今は、新しい飼い主のもとで元気に暮らしていました。
柴犬の新たな飼い主
「うちではチャコちゃんになりました。子犬ってペットショップとかで見たら、すごくかわいいんですけど、その裏があるんだなっていうのを考えさせられますね」
ペット人気が高まるなか、行われている"命の大量生産"。言葉のないあなたに代わって伝えたい。その犬たちは、心を持った命です。
2023年11月26日放送 NNNドキュメント’23『言葉のないあなたのために さまよう繁殖犬とペットビジネスの闇』をダイジェスト版にしました。