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【藤井キャスター中継】「寒ブリ」絶好期に…富山でも観光・名産に打撃  “能登の付け根”氷見市では

2024年1月19日 21:36
【藤井キャスター中継】「寒ブリ」絶好期に…富山でも観光・名産に打撃  “能登の付け根”氷見市では
能登半島地震では、富山県でも家屋の倒壊や液状化現象、断水など大きな被害が出ています。観光客が見込まれる時期に起きた地震。その影響と今後について、「news every.」藤井貴彦キャスターが取材しました。

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藤井貴彦キャスター
「私はいま、富山県氷見市に来ています。能登半島のつけ根に位置し、元日の地震では震度5強を観測し、家屋の倒壊や液状化現象、断水など、大きな被害が出ました。

一方で、全国的にも有名な『ひみの寒ブリ』の最盛期でもあるんです。実は(いまいる場所の)すぐ裏側が富山湾で、氷見漁港という場所がありますが、そこで氷見の寒ブリがあがるということで、最盛期を迎えているところで、地震の影響を受けてしまっています。

石川県ではまだ広い範囲で断水が続いていますが、ほぼ全域で断水していた(富山県の)このエリアは(断水が)解消したということです。

富山県にとって、多くの観光客が見込めるこの時期に起きた地震。その影響と今後について取材しました」

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藤井キャスター(19日)
「いま私が歩いている歩道ですが、このように砂が残っています。揺れが発生した当時は水が出て、液状化していたということです。さらにこちらは駐車場の入り口なんですが段差ができてしまっていて通ることができません。液状化そして地震の揺れの影響がいまも残っています」

いまも地震の爪痕が残る観光施設「ひみ番屋街」。それでもいまは少しずつ営業を再開しています。

藤井キャスター
「うわっ大きい。大きいブリ、『ひみの寒ブリ』です! 今が旬の『ひみの寒ブリ』、これを目指して、みなさんこちらにいらっしゃるということです。丸々太ってますね」

やはり目玉は、脂がたっぷりのった「ブリ」です。刺し身やブリしゃぶ、ブリ大根。富山を代表する“冬の味覚”です。今年は豊漁で、絶品のブリに期待が集まっていました。

ひみ番屋街にある鮮魚店「ひみ水産」も、断水の影響で10日以上、店頭販売ができませんでしたが今週、営業を再開。

ひみ水産 徳前康宏さん
「元通り観光客きて、氷見のブリ、みなさんに食べていただきたい」

施設内の飲食店では、そんな氷見の刺し身に舌鼓を打つ観光客の姿がありました。

観光客
「幸せですね」
「刺し身がかなりおいしかった」

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元日に起きた能登半島地震。富山県では、県としては初めての震度5強を観測しました。氷見市でも震度5強を観測し、住宅の倒壊や液状化など多くの被害が発生。

毎年たくさんのブリが水揚げされる氷見漁港では、初競りが予定の1日遅れで行われましたが、敷地の至る所で地割れが発生するなどし、競りや漁に影響を与えました。

地震の影響は、富山県内の他の名産品にも及んでいます。射水市の新湊漁港で競りに並べられたのは赤々としたベニズワイガニ。しかし、津波の影響でカニ漁の仕掛けが流され、水揚げされたのは例年の4分の1以下だったということです。

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観光業界も打撃を受けています。氷見市にある温泉旅館も休業を強いられていました。断水の影響で、元日に使った食器類を洗うことすらできなかったといいます。

氷見温泉郷 くつろぎの宿うみあかり 長田卓也総支配人(8日)
「調理ができない、温泉にも入れない、ということなので」

この旅館も断水が解消し、今週、営業を再開しました。

長田卓也総支配人(19日)
「今はもう水道復旧しましたので、洗い場もきれいですし、魚もしっかりおろせますし、掃除もきれいにできます」

大変な状況下でも、前進し続けてこられたのは理由がありました。それは、地震が発生した元日に宿泊していたお客さんからもらったメッセージです。

藤井キャスター
「(メッセージは)『急きょ2日目も宿泊することになったにもかかわらず大変あたたかい心のこもった対応をしてくださりありがとうございます』ということで、延泊せざるを得ない方もいたということですね」

宿泊客のメッセージ
「富山での年明けの2泊目、突然の大地震で怖い、寒い、不安でオドオド、高台に避難しましたが、スタッフの皆さんは落ち着いてコートや毛布を用意してくれました。お部屋に待機している間、晩ご飯はあきらめていたのにフルコース。忙しそうにしていても笑顔を絶やさず応対してくださったスタッフの皆さんには、頭が下がります」

長田卓也総支配人
「非常にあたたかいメッセージをたくさんいただきまして、がんばらなきゃいけないなと思いました」

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藤井キャスター
「今回取材をして感じたのは、石川県に比べて、富山県はそれほど被害が大きくないからこそ、自分たちの苦労や被害を主張していいのかどうか、迷っていらっしゃる点です。

富山県は、石川県の能登半島から距離的に近いこともあり、避難の受け入れ先としても機能を果たしています。

その一方で、富山自身も被害を受けている現状があります。液状化や建物の損傷など、規模や時間のかかる修復を、どの被災地も必要としている現状があります。

甚大な被害を受けた地域を支えるサポートも必要になってくると感じました」