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日本新聞協会、「生成AIに関する基本的な考え方」公表しルール整備求める…記事の無断利用進めば「知る権利」阻害も

2023年10月30日 15:29
日本新聞協会は、生成AIによる報道記事などの無断利用がこのまま進めば報道機関が打撃を受け、国民の「知る権利」を阻害しかねないとして、権利保護などの観点から適切なルール整備を求める「生成AIに関する基本的な考え方」を公表しました。

他人の著作物を利用する場合は原則、著作者の許諾を得る必要がありますが、2018年の著作権法改正で導入された「著作権法30条の4」の規定で、技術開発や情報解析のための利用では報道記事などを含むWeb上の著作物について著作権者の許可なく収集することができるようになりました。

技術開発や情報解析のための利用=「機械学習」は、機械が読むだけで人の知的、精神的欲求を満たすためには使われず、権利者の対価収益の機会を損なう利用には当たらないとされたためです。

今回、日本新聞協会が公表した「生成AIに関する基本的な考え方」では、「著作権法30条の4」について「報道機関からみれば、知的財産をタダで取られ放題になっている」「諸外国に比べてもAI開発者側に有利な内容になっている」「検索エンジンと生成AIを組み合わせ、ネット上の情報の加工・要約等を行って新たなコンテンツを生み出すサービスでは、人の知的、精神的欲求を満たす目的で学習、検索、推論、生成などを一体的に行っている。処理過程の多くを著作権者の許諾が要らない『非享受目的』とするのは無理がある」などと指摘しています。

また、著作権法以外の問題点として生成AIが偽情報・誤情報を生産・拡散する恐れや、AIでの安易なコンテンツ生成で人間によるオリジナル作品を軽視する風潮が強まり、表現活動に大きな影響が出る可能性なども指摘しています。

その上で、「政府は、生成AIが著作権侵害で深刻な被害をもたらす恐れがあることについて明確に発信し、著作権法を中心とする知的財産法制に関し、諸外国と足並みをそろえた検討を始めるよう議論を主導すべきだ」とし、特に著作権法については「第30条の4を見直して、少なくともAIによる学習を著作権者が拒否できる、もしくは、利用時には許諾を得る仕組みの整備が必要」と求めています。

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