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【解説】宮古島の南の海底で地殻変動観測「ひずみ」の蓄積を把握し地震予測精度向上へ

2023年10月23日 22:14
【解説】宮古島の南の海底で地殻変動観測「ひずみ」の蓄積を把握し地震予測精度向上へ
今月16日、宮古島近海を震源とする地震では沖縄県宮古島市で震度4を観測しました。この宮古島近海では、海底の地殻変動観測から「ひずみ」を調べようと取り組みが始まっています。過去に大津波もおきている南西諸島。社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース

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■震度1以上の地震は34回 沖縄・宮古島市で震度4も

10月16日から22日までの期間、震度1以上の地震は34回ありました。このうち、震度3以上の地震は2回でした。

▼16日午後7時42分ごろ、沖縄県宮古島市で震度4の揺れを観測する地震がありました。震源は宮古島近海で地震の規模を示すマグニチュードは6.0、震源の深さは33キロでした。

▼19日午前9時47分ごろ、北海道函館市で震度3の地震がありました。震源は津軽海峡で地震の規模を示すマグニチュードは2.9、震源の深さは11キロでした。

■鳥島近海で“浮遊物”軽石か? 9日の津波との関連は?

20日、海上保安庁の航空機が伊豆諸島・鳥島の西の海域で海面に漂う軽石とみられる浮遊物を発見しました。浮遊物は南北方向、約80キロにわたって点在していたということです。

軽石と言えば2年前、小笠原諸島福徳岡ノ場の海底火山の噴火によって出ました。今回の軽石とみられる浮遊物、仮に軽石だとすれば、どこの火山の噴火によるものなのか?

この鳥島近海では、9日に津波が発生しています。先週の地震ニュースでも、通常の地震と異なる揺れによって津波が発生したのではないかとお伝えしましたが、専門家は海底のマグマ活動や火山噴火による可能性もあると指摘しています。今後、軽石とみられる浮遊物が回収され、分析が進めば、9日の津波との関連も分かってくるかもしれません。

■宮古島で緊急地震速報も――周辺の地震活動は?

16日の宮古島の地震では、緊急地震速報の警報が発表されました。この地震の震源である宮古島北西の海域では、地震直後、余震とみられる地震がありましたが、その後の活動は落ちついているようです。

宮古島周辺では島を取り囲むように、まとまった地震活動がおきている場所がいくつかあります。島の南側の海域では、2009年8月にマグニチュード6.5の地震、2010年10月にもマグニチュード6.4の地震がおきているエリアがあります。さらに海洋プレートが沈みこむ、海溝軸付近でも2002年にM7の大きな地震がおきていて、島の北側でもマグニチュード7クラスの地震がおきています。

今回の地震は、大陸側のプレートの中で発生しましたが、宮古島を含む南西諸島は右下(南東)方向からフィリピン海プレートが沈みこむ場所にあるため、大きな地震もおこる場所となっています。

■海底調査から“地震予測精度を向上へ”研究進む

今年6月、静岡大学の生田准教授と東海大学の原田靖専任講師の研究グループが海底の地殻変動の様子をとらえようと、宮古島の南の海域で観測を始めました。プレートが沈みこむ、プレート境界付近は、「ひずみ」が少しずつたまり、限界に達するとそれが大きな地震を引き起こします。「ひずみ」がどのくらいたまっているか、繰り返し起きる地震を知る手がかりになると言います。海底に設置した観測点では海水を伝わる音波などを観測し、海底の地殻変動の様子をとらえて、プレート境界付近の「ひずみ」の様子がどのようになっているかを調べます。

■陸上の観測点が少ない南西諸島 直接、海底を観測

今回、観測機器が設置された宮古島の沖合は、観測の空白域で南西諸島の中でも、これまで観測ポイントが無かったエリアです。地殻変動の様子は、地上に設置された観測点を人工衛星を使い細かく調査しますが、沖縄は本州などと異なり陸上にある観測点の数が限られています。また南西諸島ではメカニズムが詳しく分かっていないものの、1771年に巨大津波を引き起こし、1万人以上が亡くなったとされる八重山地震津波がおきています。政府の地震調査委員会も、南西諸島周辺では津波の被害をおよぼすマグニチュード8程度の地震の可能性があるとしています。

■海域観測強化で「ひずみ」を知り、地震津波対策強化へ

地震学が専門の静岡大学の生田領野准教授は「海域に観測点を設置して、2つのプレート境界の固着(くっつき)の様子を知って「どれくらいのひずみ」がたまっているかなどを調べることは、今後の地震津波の防災対策を考える上でも大切」と話しています。

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