最低賃金の全国平均1004円 初の「1000円台」に! 高時給1500円でサービス向上狙う店も…“激安”店主は“悲鳴”
毎年、見直される「最低賃金」ですが、今年、全国平均で初めて1000円の“大台”に乗ることになりました。最低賃金は全国平均1004円となり、10月頃適用される予定です。賃金の底上げに悲鳴をあげる店もある一方、あえて大幅に時給をアップする店もありました。
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どのくらいの時給で働いているか、街で聞いてみました。
厨房で働くパート(60代 夫婦2人暮らし)
「1070円くらい。自分にあった仕事と、時間と日にちを考えると仕方ないかなと」
事務作業のパートとして、8年ほど働いているという40代の女性に聞くと、当初の時給は「1250円」だったといいます。
―― 今はどれくらい?
事務作業のパート(40代 夫婦2人暮らし)
「100円くらい上がった」
現在は1350円ほどに上がったといいますが、物価高のため、「お買い物は安いスーパーとかまわります」と話しました。
ちなみに今から33年前、1990年の東京の最低賃金は、「548円」でした。
今はその“倍”近くになっていますが……。
求職中の主婦(30代)
「働く人が減っているから、もうちょっと増えてもいいんじゃないかな」
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毎年、見直される最低限の時給、いわゆる「最低賃金」は全国平均で43円引き上げられることとなり、これで平均は1004円に(10月頃適用)。初めて1000円の“大台”に乗ることになりました。
全国で最も高いのは「東京都」で、現在の1072円から41円上がり、1113円となることが決まっています。
しかし、それを大幅に超える時給を提示する店もあります。
先月オープンした東京・世田谷区の焼肉店(近江焼肉ホルモンすだく祖師ヶ谷大蔵店)の時給はなんと、最低賃金を大幅に上回る「1500円」だといいます。
総合近江牛商社 西野立寛 代表
「時給は1500円の設定になっています」
「コロナ禍で、外食産業から人が非常に離れたのは明らか。いきなりお客様が増えてくるなかで、時給を上げていったと」
アフターコロナになり、飲食業界は“人手不足”に悩まされています。そこで、人材を確保するため、高い時給を1つの“アピールポイント”に、オープニングスタッフとして約20人を募集したところ、180人近くから応募があったといいます。
総合近江牛商社 西野立寛 代表
「サービスの質が向上したことで、お客様の来店も増えていますので」
今のところ離職率は“ゼロ”だといいます。今後は海外での展開を見据え、時給を“世界水準”となる2000円に合わせていくということです。
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一方、最低賃金の“底上げ”に、悲鳴をあげる店もあります。
総菜店 店員
「他 大丈夫ですか?」
客
「ナス100グラム」
街の人に親しまれる、東京・葛飾区の弁当や総菜の店「まんぷくや 高砂店」では、10人ほどのパートやアルバイトが働いています。ウリは330円の“激安弁当”です。
まんぷくや 高砂店 小坂綾佑 店主
「少ない利益で、薄利多売の商売なので。全体的な売り上げから利益を出さなきゃいけないので……賃金が上がるというのは、結構大変なところではありますけど」
この店の時給は、研修中の3か月間は最低賃金の1072円で、その後、スタッフの多くが1100円になるといいます。
しかし、それでは時給1113円という新たな最低賃金を満たしていません。
さらに、光熱費や様々な食材の高騰がのしかかります。
まんぷくや 高砂店 小坂綾佑 店主
「辞めちゃわないように、パートさんが長く続けてもらえるように、考えなきゃいけない。ここで働いていて良かったなって思ってもらえるようにしたい」
店は今後、新しい最低賃金に合わせたうえで、1人1人の生産性の向上など、スキルアップをはかっていきたいということです。