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世界初の手術 iPS細胞の網膜を移植

2014年9月12日 17:39
世界初の手術 iPS細胞の網膜を移植

 ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が開発した万能細胞「iPS細胞」から作られた組織を患者に移植する、世界で初めての臨床手術が12日に神戸で行われた。

 世界で初めての手術は、神戸の理化学研究所の隣にある病院の中で行われた。この手術は患者の目の網膜にiPS細胞から作られた組織を移植するもので、手術は無事に成功した。

 患者は70代の女性で、片方の目の網膜組織に傷がつき、視力が急激に低下する「加齢黄斑変性」という難病を抱えている。

 この手術は、目の再生医療の第一人者である理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが計画してきた。高橋氏たちは、患者の皮膚からiPS細胞を作製。約10か月間培養して、シート状の網膜組織に変化させた。

 シートを移植する手術は、眼科医をはじめ、8人ほどの医療チームが、3時間弱かけて行った。高橋氏は執刀はしていないが、手術室で見守ったという。順調にいけば、患者は2~3か月後に症状の改善が見られるようになる。現在、患者は麻酔から目覚め、容体は安定しているという。

 iPS細胞を使った臨床研究は神経細胞や血小板など他の組織でも進められており、今回の1例目の治療の行方に注目されている。