年金制度 改正案まとまる
有識者らで構成する厚生労働省の年金部会は21日、毎年度の年金額を決める仕組みについて、見直すべきとする改正案をとりまとめた。
高齢者に支給する年金額は、年度ごとに、前の年の物価や賃金の動きに連動して決めてきた。しかし、高齢者が多く、年金の支え手である若い世代の人口が少ないことを勘案して、年金額を物価上昇率そのままに増やすのではなく、物価上昇率から約1%差し引いた割合だけ増加させる「マクロ経済スライド」という年金の抑制策が、来年度分では実施される予定。
一方、物価が下がる「デフレ」の状態では、年金額は、前の年の物価下落率に連動して減るものの、1%の抑制策は実施しない仕組みとなっているが、21日の年金部会による改正案では、デフレ下でも抑制策を実施し、物価下落分に約1%加えた割合で年金額を下げるべきとした。今の高齢者の年金額を抑えて、若い世代や子どもたちが高齢者になる将来に、年金積立金を少しでも多く残すためとしている。
改正案では、またパートや派遣労働者について、正社員と同様、働いている企業の厚生年金に加入する制度を「進めていく必要がある」とした。派遣労働者らは、原則、国民年金に加入するが、厚生年金に比べ年金額が低いため、将来受け取る年金額を増やして老後の生活を少しでも安定させるのが狙い。
来年10月からは、パートや派遣労働者のうち、週に20時間以上働いているなどの条件を満たせば厚生年金に加入することになるが、中小企業は保険料の負担が大きくなるとして除外されている。これについて部会では、資金準備などができた場合、中小企業も対象とすべきという意見が出された。
厚労省は、今後与党とも協議して、今月末からの通常国会に関連法の改正案を提出する予定。