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都知事“新国立”建設巡り、危機感あらわに

2015年5月19日 20:48
都知事“新国立”建設巡り、危機感あらわに

 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会でメーン会場となる新国立競技場は、屋根の一部がオリンピックまでに間に合わないことがわかった。新国立競技場の建設を巡っては、東京都の舛添知事が本番までに間に合うのか危機感を示すなど、見通しの甘さが改めて明らかになってきている。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場は、2019年3月の完成に向け工事が進められている。しかし、本当に予定通り完成させられるのか、問題が山積している。18日、オリンピックを所管している文部科学省の下村文科相は東京都の舛添知事と会談した。

 下村文科相「東京都からも費用の一部について、ぜひ負担していただきたいという今日はお願いでまいりましたので、よろしく検討お願いします」

 舛添知事「非常に危機感を抱いているのは、まず間に合うのか。私が聞いた専門家の圧倒的多数は間に合いませんと」

 オリンピックのメーン会場が間に合わないとはどういうことなのか。

 下村文科相は19日の会見で、「2019年の春の竣工(しゅんこう)は、そのままだと間に合わない。建設資材の高騰、消費税、それから労務費以外に、そういうような要因がたくさんある中で業者との調整が長引いている」

 下村文科相は、現在の計画通りでは工事が間に合わないため、開閉式の屋根の建設をあきらめる方針を明らかにした。つまり、フィールドの部分に屋根がない状態でオリンピックを迎えることになる。下村文科相は、オリンピック開催には屋根がなくても問題ないとしていて、大会終了後に設置するという。また、座席も8万席のうち1万5000席を仮設にする方針。

 さらに、問題となっているのが「費用」。

 工事費用は当初1300億円という見込みだったが、今は1625億円とみられている。現在、再調査をしていて、工事費はさらに膨らむとみられている。国だけではまかないきれないため、東京都に負担を要請している。

 舛添知事「どれくらい費用がかかるのか。少なくとも私のところに一切情報が上がってきておりません」「500億円もの税金を払えと都民に言う以上は、きちんとした根拠がないといけません」

 この問題は2013年12月、猪瀬前知事が辞職した当日に行われた下村文科相の会見が発端だった。

 下村文科相「都議会と私の方で直接話しまして、500億円は東京都の方で出すということで、内々には了解をもらって、準備を進めております」

 しかし、新しく都知事となった舛添氏は去年5月、これを否定。

 舛添知事「500億円を都(で出す)というのは、完全に白紙です。その後、全く話はありません」

 こうした中行われた18日の会談で、舛添知事は費用負担に対する回答を保留した。さらに、こんな発言も飛び出した。

 舛添知事「もしできないならば国立競技場ではなく、都立競技場をつくってでもやろうと思っているんです」

 工事費用の問題などから計画の大幅な変更を迫られている新国立競技場。舛添知事は19日の会見でも危機感をあらわにした。

 舛添知事「危機感を持っているのは、開催地の首長として、東京オリンピック・パラリンピックは絶対成功させないといけないんですよ」「私も全力あげて努力はしますよ。都民も東京都も協力はする。その前提として、もう少し当事者能力、責任能力、説明能力、こういうことを備えた主体がやっていただかないと」

 舛添知事は費用総額などの説明を受けた上で、支援を検討する考えを示した。

 さらに国も工事費用を補うため、新たに動き始めている。現在、スポーツ振興くじ(toto)の売上げの5%が建設費用にあてられているが、これを10%に引き上げる法改正が自民党内で検討されているという。

 アスリートにとって夢の舞台となるはずの新国立競技場。今後、山積する課題を乗り越えて無事、完成させることができるのだろうか。

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