韓国から盗難仏像返還も…残る一体の返還は
長崎・対馬市の神社で盗まれた仏像1体が18日、韓国から返還され届けられた。約3年ぶりに戻ってきた仏像だが、喜びの一方、課題が突きつけられている。
18日、対馬市で文化庁の職員が手にしていたのは国指定の重要文化財「銅造如来立像」。事件発生当時、神社の宝物館を管理していた海神神社の総代・島井利和さん(67)はこの3年間、早期の返還を求めるとともに被害にあった責任を負い続けた。
2012年10月、対馬市峰町の海神神社にある宝物館で、南京錠が壊され島井さんが中に入るとケースに入っていた「銅造如来立像」が盗まれていた。逮捕されたのは韓国人の窃盗グループ。窃盗罪で起訴された6人が有罪判決を受けたが仏像は返還されないままとなっていた。
「銅造如来立像」は対馬市に戻ると県立対馬歴史民俗資料館にすぐに運びこまれた。到着を待ちわびていた島井さん。しかし、仏像の右手中指の第一関節から先が欠けていた。
島井さん「盗難当時からの気持ちですけど、普通の人間では考えられない。こういうことをしてもらいたくない」
事件以降も海神神社の宝物館の扉は南京錠のままとなっている。このため「銅造如来立像」は安全管理面から当面、資料館で保管されることになった。いつか海神神社に戻ってくる日のため、島井さんらは文化庁に防犯対策の強化に向けた支援を求めた。
島井さん「今後は建物のドアとかいろいろな問題が出てくると思う」
文化庁職員「永久に守り伝えられるものですから管理なさる方の負担にならないように一緒になって考えていきたい」
対馬市民は「帰ってくるのは当たり前だと思ってたけど遅かった」「当然だと思いますけどね、盗まれたものですから。ひと安心ですけどまだもう一つ残ってますから」と語る。
一方、残る県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」はいまだ返還される見通しが立っていない。