最終処分場巡り意見交換も…進展みられず
指定廃棄物の最終処分場建設を巡り、環境省と強硬に反対している宮城・加美町との「専門家を交えた意見交換会」が29日に初めて開かれた。しかし、ここでも両者の主張は平行線をたどり、事態の進展はみられなかった。
加美町では候補地選定に向けた現地調査を実施したい環境省と反対する住民らのにらみ合いが続き、こう着状態が続いている。
仙台市内で開催された29日の意見交換会には加美町から猪股町長ら、環境省からは井上副大臣らが出席した。
環境省・井上信治副大臣「候補地に関するデータなどの技術的質問に答えるには詳細調査を実施する必要がある」
加美町・猪股洋文町長「様々な質問をしたが残念ながら真摯(しんし)に耳を傾けてもらえなかった。十分な民主的議論も出来ぬまま今日に至っている」
29日は加美町と環境省、それぞれが招いた地質学専門の大学教授が意見を述べた。
東北大学・大槻憲四郎名誉教授「安全性を担保する岩盤や岩盤の条件、それが本当に適切かが重要」
加美町から招かれた東北大学の大槻名誉教授は候補地の選定過程では地すべりに関するデータが不十分で選定をやり直すべきと述べた。
一方、環境省から招かれたのは候補地の選定基準を話し合った有識者会議の委員だった東京海洋大学の谷教授。
東京海洋大学・谷和夫教授「(地盤が)弱い部分がどういう形で入っているかをきちっと詳細調査で押さえる必要がある」
谷教授は加美町の候補地について周辺には地すべりを起こしやすい地盤もあるが、候補地そのものは平たんな土地だと指摘し、地すべりに特化した現地調査を行って明らかにすべきと述べた。
意見交換会は約2時間で粛々と終了した。
加美町・猪股洋文町長「科学的視点が全く欠落している。選定過程に問題があった。強引に現地に詳細調査に入ろうとしていることは全くは理解できませんし、今すぐ中止して欲しい」
環境省・井上信治副大臣「見解の相違は致し方ないが、丁寧な意見のやり取りをする中でしっかり前に進めていきたい。専門的な意見もありましたけど、より深く精査するために詳細調査をやらせていただきたい」
現地での抗議行動のように激しいやり取りはなかったものの、それぞれの主張は結局、平行線をたどったままだった。環境省は今後も専門家を交えた意見交換会を継続する考え。
そして意見交換会が開かれた29日も、環境省は加美町の候補地・田代岳での現地調査を試みたが、住民の猛反発を受け、調査着手は見送られた。
加美町の候補地、田代岳に続く町道には小雨の降る中、29日も反対住民など約130人が集まった。そして、午後3時過ぎに環境省の担当者らが訪れるとその行く手をふさいだ。
双方の主張は平行線のまま、約30分続いたが、結果、29日も調査の着手は見送られた。環境省では30日も午前11時に現地調査を試みるとしている。