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【皇太子妃殿下お誕生日に際してのご感想】

2015年12月9日 10:08

 皇太子妃雅子さまが9日、52歳の誕生日を迎えられた。

【皇太子妃殿下お誕生日に際してのご感想】

平成27年12月9日(水)

 今年は,戦後70周年に当たり,一年を通じて平和の尊さに思いを寄せる大切な年でした。また,今年も自然災害が世界の各地で発生し,日本でも,茨城県常総市などで尊い人命が失われたことに心が痛みます。こうした災害により,不幸にして亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに,ご遺族や被災された方々に対し,心からお見舞いを申し上げます。一方で,昨年に引き続いて二人の日本人がそれぞれの研究分野でノーベル賞を受賞されたほか,ラグビーのワールドカップで日本代表が初めて3勝を挙げるなど,国内を元気付ける明るいニュースもありました。

 私自身につきましては,今年7月に,トンガ王室からのご招待により,皇太子殿下とご一緒にトンガ王国を訪れ,国王陛下の戴冠式に出席させていただくことができました。滞在中,トンガ王室を始めとした皆様から,温かいおもてなしとお心遣いをいただいたことをとても有り難く思っております。それとともに,在留邦人や日系人の方々が,トンガ社会に溶け込み,現地で活躍されていることを嬉しく思いました。

 10月には皇太子殿下とご一緒に福島県を訪問いたしましたが,今なお故郷を離れて避難生活を余儀なくされている多くの方々がおられ,また,風評被害もある中で,震災前よりも一層輝く福島県にしたい,将来ふるさとに戻って地域のために貢献したい,という前向きな気持ちにあふれた高校生の言葉に接し,嬉しく,また心強く思いました。また,風評被害を懸命に乗り越えようと,独自に様々な取組を行っているトマト農家も訪ねましたが,その努力が,今,少しずつ実を結んできていることを頼もしく,喜ばしく思いました。被災地の復興はまだ道半ばですが,被災地の方々に安心して暮らせる日々が1日も早く戻ってくることを心から願いつつ,これからも皇太子殿下とご一緒に,被災地の復興に永く心を寄せていきたいと思います。

 このほか,10月末に鹿児島県で行われた国民文化祭や,11月の園遊会に両陛下の温かいお心遣いをいただきながら出席できましたことは,私にとりまして嬉しいことでした。

 特に戦後70周年という節目の年に当たる今年,先の大戦に関する様々な催しが国内外で行われました。両陛下には,4月にパラオ共和国をご訪問になりましたが,お心を込めて戦没者を慰霊されるお姿に心を打たれました。この夏には,皇太子殿下,愛子と共に,私自身も先の大戦に関する幾つかの催しを訪れる機会をいただきました。そこでは,様々な展示を見せていただくとともに,戦争やその後の厳しい抑留生活などを直じかに体験された方々やそのご家族のお話を伺い,戦争の悲惨さと平和の尊さに改めて思いを深く致しました。愛子も,一緒に訪れた施設の展示や戦争の体験談を実際に見聞きする機会をいただき,また学校の夏休みの宿題に取り組む中で,戦争の歴史や,戦後の荒廃の中から日本がどのように復興を遂げてきたかについて,関心を持って学び,理解を深めてくれたものと感じています。

 本年が,先の大戦で亡くなられた多くの方々に思いを寄せ,各国との友好と平和を心から願い,これからもより良い日本を築き,次の世代に引き継いでいくための努力を続ける上での大切な節目になったのではないかと思っております。

 天皇皇后両陛下が,一昨年,昨年と相次いで傘寿をお健やかにお迎えになりましたこと,そして,今年の7月には,両陛下を東宮御所にお迎えして,皇后様の傘寿のお祝いを催させていただくなど,一昨年来両陛下のお祝いの機会をご一緒することができましたことを大変嬉しく思っております。その後,皇后様には,心筋虚血が疑われる所見がおありになり,注意深い経過観察が必要とのご診断を受けられましたことを,心からご案じ申し上げております。両陛下には,ご公務のお忙しい毎日でいらっしゃいますが,くれぐれもお体をお大事になさり,これからもお健やかにお過ごしになりますようお祈り申し上げます。また,両陛下には,日頃よりお心遣いをいただきながら,私や愛子のことを温かくお見守りいただいていることに,重ねまして心より感謝申し上げます。

 先日,三笠宮様がお健やかに100歳のお誕生日をお迎えになりましたことも感慨深く,嬉しいことでございました。これからも末永いご健康を心からお祈り申し上げたいと思います。

 愛子は,中学生活にも慣れた様子で,沢山のお友達と一緒に学校生活を楽しんでおります。2年生になり,勉強や学校でのいろいろな活動もより忙しくなっているように見受けられ,また,様々な場に出る機会も増えていますが,これからも交流の幅を一層広げながら,様々な経験を積み重ね,充実した日々を送っていってほしいと願っています。

 私自身につきましては,今年も体調に気を付けながら,公私にわたってできる限りの務めを果たそうと努めてまいりました。特に,7月にトンガ王国,10月に福島県と鹿児島県を訪れました際に多くの方々に温かく迎えていただきましたことは,私にとりましてとても大きな励みになりました。今後とも,多くの方々からのお力添えをいただきながら,快復に向けての努力を続けていきたいと思います。この機会に,国民の皆様から日頃よりお寄せいただいている温かいお気持ちに対し,改めまして厚く御礼を申し上げたいと思います。