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時代と共に変わる「家族のかたち」

2015年12月17日 18:57
時代と共に変わる「家族のかたち」

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。15日は「夫婦別姓 認められるか?」。

 夫婦別姓を認めていない今の民法の規定が憲法違反かどうかが争われている裁判で、最高裁は16日に判決を言い渡す。夫婦別姓を認めない事が憲法違反かどうか初めての判断が示される。

 これまでは、結婚すれば夫婦で同じ名字を名乗ることになっていたが、判決次第で変わるかもしれない。

 今回の裁判では、民法750条の「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」。つまり、結婚すれば夫婦は夫か妻のどちらかの姓、名字を名乗るという規定が憲法違反かどうか争われている。


【結婚後の姓 現状は?】
 厚生労働省の調査では、夫婦の96%以上が「夫の姓」を選んでいる。その一方で、労務行政研究所が行った調査では、仕事で通称名として旧姓の使用を認める企業は、93年には13,2%だったが、20年間で64.5%まで増えていて、結婚前の旧姓を「通称名」として使うことも社会に浸透してきている。


【原告の主張は?】
 こうしたことを背景に、今回の原告の5人は夫婦が別々の姓を名乗る事を法律で認めるよう求めている。原告の1人は以下のように語っている。

 原告の1人・吉井美奈子さん「私たちは婚姻制度にのっとった夫婦になるために、どうして名前をどちらかが変えなければいけないのか疑問を持っている。女性が活躍する社会を心から望むのであれば、同じ姓にしたい人はする。これまでの姓を使い続けたい人は使い続けられる法制度に変えていくべき」

 5人は「望まない改姓を余儀なくされて『自分が自分でなくなった』と悲しみ苦しんでいる」「『通称名』は新規開設の銀行口座、運転免許証などでは使えない」「名字を変えないために入籍しない『事実婚』の場合、相続や税で配偶者の優遇制度が受けられないなど不都合が出てくる」ことなどを指摘している。

 原告は、夫婦別姓を認めない民法の規定は主に「『すべて国民は、個人として尊重される』ことを定めた憲法13条や、『すべて国民は法の下に平等』で、性別によって差別されないという憲法14条などに違反している」と主張。

 つまり、この規定は“姓の変更を強制されない権利”を侵害し、“女性差別”にあたるとしている。


【国側の主張は?】
 一方、訴えられている国側は、原告の訴えに対して「夫婦別姓は憲法上、保障されている権利ではなく、こうした憲法の条文には違反しない。今の制度は結婚の時、夫か妻、いずれかの姓を選べるようになっているため、女性差別にはあたらない」などと主張している。

 また、この民法の規定は“家族の一体感を作り出す”ことを目的に制定されたもので、夫婦で同じ姓を名乗る事は「ファミリーネーム」として国民に深く浸透しているとしている。「名字は家族の一体感につながる」という主張だ。


【国民の考えは?】
 NNNが週末に行った世論調査によると、54.9%の人が「同じ名字を使うべき」、「結婚前の名字のままでもよい」という人は31.2%だった。

 この意見は男女ではあまり差はなかったが、年代別で見ると、「同じ名字を使うべき」という人は70歳以上で65.8%、20代でも過半数だった。

 一方、「結婚前の名字のままでもよい」と答えたのは、働き盛りの40代が45.2%と一番多く、「同じ名字を使うべき」という人より多かった。


【違憲判決が出るとどうなる?】
 違憲となれば、この民法は改正されて夫婦別姓が認められるようになる。しかし、そうなると、子どもの姓をどちらにするかで新たな議論を呼ぶ事になりそうだ。


【家族のかたち】
 この民法の規定は明治時代に作られた物が基となっている。時代と共に「家族のかたち」は変わりつつあるが、夫婦別姓には様々な意見がある。今後の「家族のかたち」に大きく影響することになるかもしれない最高裁判決が注目される。

(こちらは、2015年12月15日に放送されたものです)