今年の福島第一原発 廃炉作業の現状と展望
今年は福島第一原発事故から5年を迎える。原発では、廃炉への作業が続けられているが、最大の課題である、溶けた核燃料の取り出しに向けて今年どう取り組むのか、現状と展望は-。
【廃炉作業 この先一番の課題は…】
廃炉作業の完了まで40年とも言われる福島第一原発。この先の一番の課題は、原子炉格納容器の底などに溶け落ちた核燃料「燃料デブリ」をどう取り出すかということだ。
しかし、2011年3月に炉心溶融事故を起こした1~3号機は今も放射線量が高いことから、中枢部に作業員が近づくことさえできない。
これまでも内視鏡を格納容器に入れ、燃料デブリの実体を捉えようと試みたが、高い放射線量やがれきに阻まれ、うまくいかなかった。燃料デブリはどのくらいの量があり、どのような状態で溶け落ちて固まっているのか。何も分かっていない。
今年まず行われることは、2号機の格納容器の中に新たに開発された無人の遠隔カメラを入れ、燃料デブリがどのような状態になっているかを調査することだ。
廃炉を進める上で大きなカギとなるデブリの姿をやっと確認できるところまできた。しかし、カメラで見ただけではデブリの性質や重さ、放射線量など実体を把握することは困難だ。
過去に炉心溶融を起こした事故には、アメリカのスリーマイル島原発の事故があるが、福島第一原発は同時に3つの原子炉が炉心溶融を起こすという、より規模が大きな事故であり、燃料デブリをどのように取り出すかについては、技術もまだ開発中なのだ。
【廃炉まで40年 未知なる戦い】
東京電力の計画では、取り出しの目標は2021年からだが、取り出した後、どこに保管するのかもまだ決まっていない。
廃炉まで40年。“未知なる戦い”は始まったばかり。東京電力と政府が描く廃炉への道筋は、まだ見通せていない。