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「ゲノム医療」実用化 取り組み加速へ

2016年1月2日 22:05

 今年、日本政府や国内の研究者は、人間の遺伝情報を使った医療「ゲノム医療」の実用化に向けた取り組みを加速させる方針。


【ゲノム医療とは】
 人間のDNAに含まれる遺伝情報=ゲノム情報を医療に活用する画期的な取り組みで、ゲノム情報を使えば病気の診断や治療を効率的・効果的に行うことができ、病気の予防も可能になることが分かっている。

 例えば、ある抗がん剤は特定のゲノム情報を持つ患者には効果がある一方で、別のゲノム情報を持つ患者には効果がない。このことから、患者のゲノム情報を把握した上で最も効果が見込まれる薬を選んで使用すれば効率よく治療ができることから、ゲノム医療が進歩すれば患者1人1人に合わせた「オーダーメード治療」の時代が始まると言われている。


【欧米に比べて出遅れている日本】
 しかし、日本の「ゲノム医療」への取り組みは、欧米に比べて大幅に出遅れているのが現状だ。遺伝子を使った治療は、日本では実際の患者で試す臨床試験段階にまだ入っていないが、アメリカではすでに1359例の臨床試験が行われている。

 また、生活習慣病を予防するために医師が患者個人のゲノム情報を基に生活指導する取り組みも、アメリカやイギリスでは国家プロジェクトとして行われていて、アメリカではその対象が100万人規模に上っている。

 日本で「ゲノム医療」の実用化が遅れている理由の一つに、ルールや環境が整備されていない現状がある。ゲノム情報は、一生変わらず持ち続けるため「究極の個人情報」とも呼ばれるが、その高度な個人情報を、研究の際にどう扱うのか明確なルールがない。また、医療現場での患者のゲノム情報の管理方法や、ゲノム情報による差別を防ぐ方法などのルールや指針もない。


【3省連携のプロジェクト発足】
 こうした課題を解決し、「ゲノム医療」の実用化に向けて環境や制度を整備するための日本政府のプロジェクトが去年11月、立ち上がった。

 これは厚生労働省と文部科学省、経済産業省が連携したプロジェクトで、今年夏にも報告書をまとめ、環境整備をスタートさせる方針。これによって「ゲノム医療」実用化への取り組みが加速することが期待されている。

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