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国内テロ対策 課題は“民間との連携強化”

2016年1月3日 23:40

 日本では今年5月に「伊勢志摩サミット」があり、更に2020年には「東京オリンピック・パラリンピック」も控えているため、国内におけるテロ対策強化が喫緊の課題となっている。

 去年11月に起きたフランス・パリの同時多発テロ事件では、試合中のサッカースタジアムやレストランなど比較的警備が緩やかな民間の集客施設「ソフトターゲット」が狙われ、世界に衝撃を与えた。

 警察庁はサミット期間中にテロの標的となるのは、各国首脳が集まる伊勢志摩や、その他の閣僚級会合が開かれる会場ばかりではなく、東京や大阪のような大都市圏など日本全国どこでテロが起きてもおかしくないとして、全国の警察に警戒・警備を徹底するように指示している。

 一方で、ある幹部は「全てのソフトターゲットを警察だけで守ることはできない」とも言う。

 そこで大切になるのがソフトターゲットを管理する民間事業者などとの協力関係だ。全国の警察では、民間事業者と合同訓練や研修会などを行い、「テロを許さない社会作り」をスローガンに官民一体の「テロ対策パートナーシップ推進会議」を発足する動きが広まっている。

 また、警察庁は先月、全国の警察に、大規模集客施設の管理者に対し、「自主警備の強化」「手荷物検査の実施」「防犯カメラの整備」「テロを想定した避難誘導訓練」などを呼びかけるよう通達を出した。

 一方で、民間の事業者側を取材すると、「防犯カメラを設置するには資金が必要で、すぐには増やせない」「手荷物検査は客の利便性が損なわれるので、現実的に難しい」など、テロ対策の必要性は理解しながらも、どこまでやればよいのかへの戸惑いの声も聞こえてくる。

 テロの防止に向け、民間の事業者などとの協力態勢をいかに強めていけるか、日本の警察には差し迫った課題だ。