どうなった?どうなる?マイナンバーカード
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。9日のテーマは「どうなった?マイナンバーカード」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
去年、皆さんの手元にマイナンバーの通知カードが届いたと思う。今年1月からは正式にマイナンバーの運用が始まり、顔写真付きのマイナンバーカードの発行手続きも始まった。
マイナンバーカードは希望者が作るものだが、総務省によると、今月1日までに全国で1000万6802人の申請があり、実際に交付できたのは350万5568枚にとどまっている。
■交付遅れの原因は?
今年1月から先月までに6回もシステムトラブルが起きたためだ。今は原因を突き止め、解決したという。
しかし、東京都世田谷区の場合、去年12月上旬に申請した人の分を今、交付している状態だという。東京都練馬区など人口の多いところでは「今、申請したら、受け取りまで最低3か月は見てほしい」という。
■マイナンバーカード作ろうと思わない「66%」
運用開始に先立って去年12月にNNNが行った世論調査で、「マイナンバーカードを作ろうと思うか?」と聞いたところ、66.0%の人が「思わない」と答え、その理由としては「必要だと思わないから」が60.8%と最も多く、次いで「個人情報の流出に不安があるから」(26.9%)となっている。
■何が出来る?マイナンバーカード
まず、公的な身分証明書として使える。そのほかに、全国206の市区町村では、マイナンバーカードがあればコンビニエンスストアで住民票の写しなど自治体が発行する証明書を受け取ることができるサービスもスタートしている。コンビニなら、早朝や夜など役所の窓口が閉まっている時間にも受け取れて便利だ。
さらに、自治体が発行している図書館のカードや体育館の利用カード、公立病院の診察券、ボランティアやエコ活動に参加するともらえる自治体独自のポイントカードなどを1枚にまとめようという検討も始まっている。
1枚にまとまれば私たち利用者にとって便利になるし、自治体側にしても、すでに利用者が持っているマイナンバーカードを使うので、これまで何枚も発行していたカードの経費が節約できる。また、公共サービスの連携も図れる上、業務も効率的に行えるようになるとしている。
■民間とも連携
さらに総務省は、自治体だけでなく民間のポイントサービスとも連携できるような仕組みを作ろうとしている。
例えばマイナンバーカードでクレジットカードのポイントや航空会社のマイルを使って地元の商店街などで買い物が出来るようにする方針。
こうしたカードの一元化や利用拡大は、遅くとも来年度中の開始を目指している。
■情報流出の心配は?
心配されるのが個人情報の流出だが、その点について総務省は、お店でマイナンバーカードを使ったからと言って、そのお店に必要以上の個人情報が伝わることはないという。
というのも、年金などの社会保障や税金に関する個人情報などは、カード裏面の12桁の数字=マイナンバーで管理するが、お店などが使う情報はカード裏面にあるICチップを使い、全く別のシステムで管理するという。
また、買い物履歴などは、システムにもICチップにも記録されないとしている。とはいえ、新しいシステムなので、慎重に運用してほしいものだ。
■マイナンバー関連の詐欺も
一方で、気をつけたいのがマイナンバーカードに関連した詐欺だ。警察庁によると、マイナンバー制度関連の相談は、今月2日までに全国で459件あった。
中には、市役所の職員を名乗る人物がやってきて、実際には無料で発行できるマイナンバーカードについて「お金がかかる」などと言われ、登録手数料としてお金をだまし取られるという被害も起きている。
警察庁は、マイナンバーの通知やカードの交付手続きにおいて、国や自治体の職員らが「お金」を要求すること、「所得」や「家族構成」などの情報を聞き出すことは一切無いとして、注意を呼びかけている。
■管理の徹底を
今後、マイナンバーカードの活用法は広がろうとしていて、私たちの暮らしも便利になっていくだろう。その可能性を潰さないためにも、政府や自治体は情報管理をしっかりしてほしいし、私たちもカードが1枚にまとまれば、使ったり持ち歩いたりする機会も増えるから、しっかり管理することが大切だ。