LGBTQ「3人に1人」が困難な経験――都が調査、ハラスメントや差別の実態は? 「パートナー制度」への期待と限界
東京都の調査によると、LGBTQの33%が「困難な経験をしたことがある」と答えています。その解消のためにも、都は「パートナーシップ宣誓制度」の運用を11月から始めます。導入効果への期待が寄せられる一方、課題や自治体レベルでの限界もあります。
■LGBTQの人が直面する「困難」
有働由美子キャスター
「東京都の調査に対し、LGBTQの方々がこれまでに『困難な経験をしたことがある』と答えた割合は33%でした。3人に1人が直面している問題です。特に多かったのが『周囲のリテラシー不足』でした」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「具体的には、職場でからかわれながら『ゲイでしょゲイでしょ』と告白を強要するようなコミュニケーションに苦痛を感じた」、親族に見合いを執拗に迫られてカミングアウトしたら『病気だから治る』と言われて、その後は無視されている、といったものです」
「こうしたハラスメントや差別、相談相手の不在などを経験したという声が多く寄せられています」
有働キャスター
「これはもうLGBTQだからということではなく、誰でも嫌ですよね」
■東京都が新制度…変わることは?
小栗委員
「こういう困りごとの一部でも解消しようと、今回東京都は『パートナーシップ宣誓制度』を導入します。『同性パートナーシップ・ネット』によると、こうした制度を実施している自治体の人口は総人口の約52%。これに東京都が加わることで、約63%になります」
「何よりも、首都・東京が人権尊重のお墨付きを与えることで、みんなの感覚や社会の認識は変わることが期待されます」
「ただ今のところは、都営住宅に入居できるようになることだけが決まっていて、まだまだ結婚と同等の権利は得られず、公的な福利厚生を十分には受けられないのが現状です」
「都の担当者は今後、民間の事業者などと連携した上で『都内ならどこの市区町村でも民間の住宅に入居できたり、パートナーの同意があれば病院での手術や入院時の面会ができたりするようにしたい』と話しています」
■「パートナーシップ」拡大で…期待は
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「都に広がったことで、人生が本当に変わるくらい助かる人はたくさんいるのではないかなと思います。『東京都ありがとう』と思うと同時に、そもそもこれは国が法律的に認めないがゆえに必要な制度だ、という問題も(あると)感じました」
「同性婚に限らず、パートナーシップのあり方はそれぞれ多種多様なので、この制度をきかっけに社会の認識も少しずつ変わっていってほしいなと思います」
有働キャスター
「これは今、自治体がやれることをやっていますが、自治体には限界がありますので、ここから先は国レベルということになります。20日には大阪地裁で同性婚に関する新たな判決、司法判断が出ますので、そちらもしっかり注目していきたいです」
(6月15日『news zero』より)