築地“移転中止”も否定せず 小池知事会見
東京都の小池知事は31日、築地市場から豊洲市場への移転延期を正式に発表した。決断した理由について、小池知事は「都民ファースト」と繰り返し、豊洲への移転について3つの疑問点を挙げた。
■31日午後、会見場に姿を現した小池百合子都知事は、11月7日に予定されていた築地市場の豊洲への移転延期を正式に発表した。
■小池知事会見「11月7日に予定されています、築地市場の豊洲新市場への移転については延期といたします。“都民ファースト”に基づいていないものについては、都民のみなさんの目線で情報を公開して、事象の経緯を明らかにして、都民の利益を第一に考え、時には政策を変更して都政運営してまいります」
■小池知事は、移転延期の理由について、3つの疑問が解消されていないことをあげた。
■1つ目の理由は「安全性」。豊洲市場が元々、東京ガスの工場跡地だったことから、東京都が2年間にわたり地下水の調査を行っている。最後の調査予定日は、今年の11月下旬、結果が出るのは来年1月だ。それより前の移転は「安全性」の確認ができていないため、認められないという。
■2つめの理由は「費用増大の不透明さ」。特に建設費に関しては、当初990億円だった予定が、約3倍近い2752億円に膨らんでいることをあげた。
■3つめの理由は「情報公開」。小池都知事は「こんなにお金をかけていながら、そこで仕事をする業者から、いまだ不満が多くでるのは一体なぜなのでしょうか。私は適切な情報開示、情報公開が行われていない、それが伝わっていなかったからではないかと考えるわけでございます」と説明した。
■移転予定日まで約2か月に迫る中で、決まった“延期”。小池知事は、建築や土壌の専門家などをメンバーとした「市場問題プロジェクトチーム」を設置し、問題点を精査した上で、移転時期を決めるとした。
■また、会見で「移転中止ということは、プロジェクトチームの結果次第で視野に入っている?」との記者からの質問には、「プロジェクトチームの精査を待ちたいと思います」と答え、“移転中止”の選択肢も否定しなかった。
■移転の延期を求めてきた築地市場の業者「私たちの意見を聞いて欲しいということが受け入れられてうれしい」
■延期に反対する築地市場関係者「大混乱だよ。しゃれにならん」「知事には僕らの声が正確に伝わっているか疑問だな」
■市場関係者らは豊洲市場の冷蔵庫の整備に、120~130億円の投資をしたという。
■築地市場協会・伊藤会長「既に投資しちゃったんですよ。どうするんですか。我々からかわれているわけじゃないんですよ」
■小池知事は、業者が行った準備への補償や環状2号線開通への影響など、具体的な問題については今後「市場問題プロジェクトチーム」が検討するとしている。