鬼怒川の堤防決壊から1年…生活再建が課題
茨城県の鬼怒川の堤防が決壊した水害から10日で1年。大規模な浸水被害が出た常総市では、200人近くが避難生活を続けるなど課題が残っている。現地から森本隼裕記者の報告。
1年前の豪雨では鬼怒川が増水し、この場所にあった堤防が200メートルにわたり決壊した。今では当時よりも2メートルほど高い新たな堤防が完成し、上の部分はアスファルトで舗装されている。1年前に決壊した時には、鬼怒川の濁流が住宅地へ流れ込んだ。寸断されていた県道は復旧し、今では車が頻繁に行き交っているが、その周辺は更地が広がっている。ここに建っていた住宅約10棟が濁流で押し流されたが、今でも費用の問題などから多くの住宅が再建のメドを立てられずにいる。
こちらでは10日午後、住民らによって献花台が設置され、堤防が決壊した午後0時50分に合わせて犠牲者に黙とうがささげられた。常総市では面積の約3分の1が浸水し、2人が死亡、5000世帯以上が全半壊した。
近隣の自治体が提供する公営住宅などでは、約80世帯・200人近くが避難生活を続けている。自宅が大きく損壊した瀧本幸子さんも親子3人で避難生活を続けている。
瀧本さん「今までと一変しちゃったからね。とにかく近所のコミュニケーションもないし」
瀧本さんは、すでに自宅の建て替えも始まっているが、「再び異常気象が起きる可能性を考えると、元の低い土地に戻るのは不安だ」とも話した。常総市では水害後の人口減少も進み、復興への道のりは険しいものとなっている。