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孤立しないために…豪雨災害への備え徹底を

2016年9月12日 18:56
孤立しないために…豪雨災害への備え徹底を

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。12日のテーマは「堤防決壊から1年」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 去年9月、茨城県常総市を襲った記録的な大雨により、鬼怒川の堤防が決壊した。濁流に押し流される家や孤立した人の姿を覚えている人も多いと思う。

 この被害を改めてまとめると、常総市では5125棟の家屋が全壊または半壊した。浸水エリアは市内の3分の1に及び、4200人以上が孤立して、後に救助されたという。


■増加傾向の「1時間に80ミリ以上」

 豪雨災害は最近も各地で続いている。先月も北海道や岩手県で台風10号による被害が相次いだ。実は、こうした猛烈な雨が降った回数を見てみると、「1時間に80ミリ以上」という、目の前が白くかすむほどの雨は年々増加傾向にあり、豪雨災害が起きやすくなっている。


■首都圏も例外ではない「豪雨災害」

 首都圏も大きな河川があるので例外ではない。国土交通省が、荒川の堤防が決壊した場合を想定して作ったCGの映像がある。このCG映像では、決壊から6時間後には地下鉄町屋駅に到達。東京駅の改札も浸水していき、東京・銀座など都心部へ被害が広がる様子が描かれている。

 CG映像は東京・北区で堤防が決壊したケースを想定しているが、浸水は荒川区や台東区全域や中央区、官邸や国会議事堂のある千代田区にまで及び、「首都機能は停止に陥る」としている。試算では、死者数は約1000人、孤立者は約70万人、水が引くまでには2週間から1か月以上かかるとしている。

 実際、過去には1910年に荒川などの氾濫もあったし、1947年には利根川の堤防が決壊、約30万戸が浸水する大水害があった。当時より治水事業が進んでいるとはいえ、いまは人や住宅が増えているし、地下鉄などの地下空間を水がつたっていくから、被害は大きくなりやすい。

 こうした水害を想定して東京消防庁が今年1月に発足させたのが航空消防救助機動部隊、通称「エアハイパーレスキュー」だ。これまでは1回に1人ずつしか救出できなかったが、「エアハイパーレスキュー」は最大で15人が乗れる大型のゴンドラを使うため、孤立した大勢の人を救うことが期待されている。


■個人が水害に備えてできることは?

 まず、避難の仕方を理解することだ。避難には、自宅を離れて避難する「水平避難」と、緊急時に自宅や建物の2階以上に避難する「垂直避難」がある。

 常総市の時は、家の屋根などに上る「垂直避難」をした人が見られたが、孤立して救出までには時間がかかった。このため、水害が起きた時には早めに「水平避難」をすることが基本となる。さらには、行政の指示を待つのではなく自分で判断して避難することが肝心だ。

 自分で判断するのは、なかなか難しいと思いがちだが、東京大学大学院の関谷特任准教授は「地震はどこでも起きるが、水害は川の近くや土地の低い所などに限られるし、大雨が降った段階で対応できる。だから、自分の地域が水害のリスクがあるかを知っておけば、早く逃げるべきか適切な判断ができるはずだ」と指摘している。

 事前にそのリスクを知っておくことが大事となるだけに、自治体のハザードマップは確認しなければいけないし、北区などでは水害時に想定される「浸水の深さ」を示す数字が電柱に書かれているので、こうしたものを見てみるのも有効だ。


■孤立しないために

 常総市の水害で、私たちはその恐ろしさを学んだ。その経験を無駄にしないためにも、1年たったいま改めて、川の近くなどに住んでいる人は避難方法を確認し、いざという時に孤立しないよう日頃から準備を徹底することが大事だ。

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