小池知事が宮城・長沼ボート場を視察
東京都の調査チームがオリンピックの会場計画見直しを提案していることを受け、小池知事が15日、宮城県のボート場を視察した。地元をあげて歓迎される中で視察した小池知事は、どんな判断を下すのだろうか。
15日午後1時頃、宮城県登米市の長沼ボート場。小池知事の登場に大きな拍手と歓声があがる。到着するなりボートに乗り込んだ小池知事。オリンピックの競技会場としてふさわしいのか、水上からボート場を視察した。今回の視察には大勢の地元住民や報道陣が集まった。
会場計画の大幅見直し案が公表されたのは先月29日。コスト削減の一案として東京都の調査チームが小池知事に提案した。オリンピックで「水泳」「バレーボール」「ボートとカヌー」の会場として建設予定の3施設について、規模の縮小か、既存の施設への変更を提案。中でも費用が491億円に膨らんでいるボートとカヌーの会場「海の森水上競技場」については、東京から約360キロ離れた宮城県の長沼ボート場を代替候補地にあげた。
この提案に、ボートとカヌーの競技関係者は一斉に反発。
国際ボート連盟・ローランド会長「この段階で計画の変更が出ていることに驚いているし、がっかりしています」
リオ五輪 カヌー・スラロームの銅メダリスト・羽根田卓也選手「(選手は)本当に寂しくて絶対に嫌だと思う。ぜひ東京でやれるように、なんとか調整いただきたいと」
大会組織委員会も「費用負担が不透明」なことや「東京から遠く選手に負担がかかる」こと、「レガシー(遺産)にならない」ことなどをあげ、難色を示している。
一方、宮城県の村井知事は、長沼ボート場での開催を歓迎。東日本大震災の被災者の仮設住宅を改修して、選手の宿泊施設として再利用することも提案している。
15日、その仮設住宅の視察でも歓迎された小池知事。改装した仮設住宅の中を案内した村井知事は、内装を整えれば選手の宿泊施設になるとアピールした。
さらに、宮城県は15日、組織委員会の指摘に対しても「コストは都の試算よりも低く抑えられる」「仙台空港は国際線もあり、選手の負担も過度にならない」「恒久施設で検討しているので、被災地にレガシーとして残る」と反論した。
視察を終えた小池知事「被災地で使われた仮設(住宅)が今度はオリンピック・パラリンピック用によみがえる。一つの大きなメッセージになり得るかと思いました。やはり復興五輪というメッセージはパワフルなメッセージだと思っていますし、こうやって、改めて長沼に注目されること一つをとっても、復興を忘れていたんじゃないかと、みなさんもお気づきになってるんじゃないかと」
小池知事は、「視察をベースに、都としての選択をしっかりと定めていきたい」と述べた。
どのような結論を出すのか、小池知事の判断が注目される。