乳児用液体ミルク 政府が国内販売を検討へ
国内で販売されていない乳児用の「液体ミルク」について、政府が販売を認めるかどうか今後、検討に入ることが分かった。粉ミルクに比べて乳児に飲ませる手間が少なく、育児の負担軽減に向けて期待する声があがっている。
菅官房長官は17日午前の会見で、液体ミルクについて「(専門調査会で)男性の育児参加を進める上で、乳児用液体ミルクは有効であるという意見があった。今後、専門調査会で検討が行われる」と述べている。
乳児用の液体ミルクとは、どんなものなのか。製品の箱を開けると、小分けされた容器に液体のミルクが入っていた。使い方はふたを開けて付属のキャップを閉めると完成、とても簡単だ。
液体ミルクが普及しているアメリカ・ニューヨークの母親は「すぐ使えて便利。外出の時でも、混ぜたり水を探したり、粉末をはかったりしなくていい」と話す。
液体ミルクは紙パックやペットボトルに無菌状態で密閉されていて、数か月から1年ほど常温で保存ができるという。しかし、日本ではこれまで液体ミルクを想定した法令が整備されていない。厚生労働省の省令で、乳幼児用ミルクは「粉末状」つまり粉ミルクに限定されていて、“液体”は含まれていない。
封を開ければすぐに飲ませることができる乳児用の液体ミルクが注目されるきっかけとなったのが、東日本大震災だった。宮城県石巻市には、フィンランドから液体ミルクが救援物資で届けられた。水やお湯など十分に使えない被災地では、そのまま飲ませることのできる液体ミルクが重宝されたという。
また、今年起きた熊本地震でも、フィンランドの企業が提供した液体ミルクを、当時の議員連盟会長だった小池百合子都知事が被災地に届けていた。また、小池知事は都知事選でも、液体ミルクの有用性について訴えていた。
政府は、業界団体に液体ミルクの安全性の試験を求めているほか、内閣府の会議で今年度内に方針をまとめる予定。