“LGBT法”成立も……当事者ら反発のワケ 「全ての国民の安心に留意」の条文、“女子トイレに女装男性”懸念する保守派に配慮
性的マイノリティーの人たちへの理解を促すため、政府が基本計画を作ることなどを定めたLGBT理解促進法が16日、成立しました。当事者らは反発し、「差別を促進する」との批判も上がります。懸念するのは「全ての国民が安心して」と書かれた条文です。
16日の参院本会議。「当事者は反対してますよ!」「反対!」というヤジと拍手が飛び交う中、議長が「本案に賛成の諸君の起立を求めます」と呼びかけました。
反対の声も上がる中、LGBT理解促進法が成立しました。性的マイノリティーの人たちへの理解を促すため、政府が基本計画を作ることなどが定められています。
ただ、当事者からも反対の声が上がっています。
当事者らによる記者会見で、時枝穂さんは「当事者の方向を全く向いていない」。西山朗さんは「一番危惧するのは、『全ての国民の安心に留意する』という文言です」と、それぞれ語りました。
その条文とは、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するものとする」と書かれたもの。これは、女子トイレに女装した男性が入ることが増えるなどといった、保守派の懸念に配慮されて追加されました。
当事者らは、懸念される内容は事実とは異なると主張。『全ての国民が安心して』との文言について、性的マイノリティーが誰かの安全を脅かすように見える、と指摘しています。
時枝さん
「国民の安心を脅かすかのような存在として法案に明記されていることに強い憤りを感じます」
当事者の中からは「理解ではなく差別を促進するもの」といった批判の声が上がっています。会見では、松中権さんがこう訴えました。
「とにかく無関心でいてほしくないということです。このままの社会の状態のままこの法律が運用されたら、ネガティブな日本社会に、より加速がかかっていくと思います。これをより良い方に運用していくのは、本当に全ての方々次第だと思っています」
(6月16日『news zero』より)