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2017年1月1日 13:57

2017年天皇陛下「退位」に向けての動き

2017年天皇陛下「退位」に向けての動き
(c)NNN

 2017年の皇室は、天皇陛下の「退位」に向けて具体的な動きが始まる年になるとみられている。

 天皇陛下は去年8月、「退位」の意向をにじませるお気持ちを以下のように表明された。

 「既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています」

 ご自身の発言が政治的なものとなり憲法に抵触しないよう慎重に言葉を選ばれての「おことば」だった。

 陛下周辺の関係者への取材によると陛下は、すでに、2010年7月、相談役である「参与」を集めた参与会議で、「80歳になるまでは天皇を務めるが、高齢化の影響で務めを果たすのが難しくなる前に皇太子に『譲位』したい」と、はっきり表明されたことが分かっている。さらにその後の会議で「それでは平成30年までは頑張りますか」と、「退位」の具体的な時期も示唆されていたという。

 今年、2017年つまり平成29年を迎え陛下が言及された年が近づいている。昨年秋、政府は陛下の退位をめぐる「有識者会議」を立ち上げ議論を進め、1月中には論点整理を公表する方針。政府も現在の天皇陛下1代に限って退位を認める特例法を軸に検討を進めていて、「退位」に関する法案を今年の通常国会に提出する方針。

 一方、宮内庁幹部によると宮内庁は陛下の「退位」に関しては「法律が出来るまでは動き出すわけは行かない」として、有識者会議の議論や政府の動きを現在静かに見守っているところだが、「退位」について法律で決まれば憲政史上初めてとなる「退位」に向けて決めなければならないことは山積している。

 まず注目されるのが「元号」の制定。現在の「平成」は昭和天皇が亡くなる前から非公式に検討され1989年の1月7日の午後に発表された。しかし仮に「退位」が決まれば、公式に検討され事前に発表されることも可能だとみられている。

 また「代替わり」の儀式も決めなければならない。「即位」に関してはこれまで通り「剣璽等承継の儀」によって、いわゆる「三種の神器」などが新天皇に受け継がれるとしても「退位」についての儀式は現在決められたものがないため、いつ、どのような形式で行われるかを決めなければならない。

 退位された場合、今の天皇陛下の呼び方、皇室内での立場、公務への関わり方や支える職員の規模、さらにお住まいをどうするかも決めなければならない。退位した天皇については歴史的に「太上天皇」、略して「上皇」という呼び名が使われていたが、有識者会議では一部の専門家から「前天皇」としてはどうかという意見も出されている。

 退位後も皇室にとどまるとしても、公務や地方訪問、皇室の行事に出られるのかどうかなどは有識者会議でも専門家の中にも「権威の二重性」が生じないように慎重に検討されるべきだという意見がある。

 両陛下の将来に関しては昨年秋、秋篠宮さまが記者会見で「できるだけある年齢以上になったら,今までやってみたいと思っていたこと,そういうことをできるだけする時間が取れたらいいなと思っております。例えば,若い頃からずっと続けてこられたハゼの研究であったり、音楽であったり」と両陛下には私的な活動に時間をできるだけ取っていただきたいという希望を話された。

 さらにお住まいについても決めなければならない。今の陛下が元の住まいでもあった赤坂の今の東宮御所に戻られ、新天皇が皇居内の今の御所に入るという案や新たに皇居内に新天皇の御所を作る案、昭和天皇の住まいだった吹上大宮御所を活用する案、今の陛下のお住まいを全く別の場所に移す案などさまざまな方向性が考えられるが、宮内庁幹部によると「全く何も決まっていない」という。

 ただ、今の陛下は即位後も5年間今の御所が新築されるまで赤坂御所に住み、皇居まで「通勤」されていた。新築せずにお住まいを改修するだけでも数年は時間がかかるとみられるため、「退位」が決まってもお住まいを移すにはある程度時間がかかるとみられる。

 一方、皇太子さまが天皇になることで次の「皇太子」が不在となる。皇位継承順位1位は秋篠宮さまとなるが現在の皇室典範では天皇の直系の男子だけが「皇太子」となることができるため、現状では秋篠宮さまは「皇太子」とはならない。しかし、今の皇太子さまが務められている膨大な公務を受け継ぎ、また時には国事行為の臨時代行を務める必要もあるため「皇太弟」という制度を新たに設けてはどうかという専門家もいる。

 またその場合の秋篠宮さまを支える職員の数や予算をどうするかも大きな問題となる。その他、宮中祭祀や皇室の行事などにも新たに定めなければならない項目は幅広くあり、今後「退位」までにはこれらのことが決められていくことになるとみられる。

 天皇陛下の様々な公務は、今年も予定されていて、まず2月末から3月上旬にかけて両陛下のベトナムへの公式訪問が予定されている。2015年のパラオ訪問や去年のフィリピン訪問では太平洋戦争の犠牲者の慰霊も大きな目的とされたが、ベトナム訪問はシンプルな形での国際親善訪問となる見込み。

 また国内の地方公務では富山での「全国植樹祭」、愛媛での「国民体育大会」、福岡での「全国豊かな海づくり大会」へのご出席が予定されている。しかし2月に北海道で行われる冬季アジア札幌大会は極寒の北海道であることを考慮し、皇太子さまが天皇陛下の名代として出席し開会宣言をされることになった。すでに「こどもの日」や「敬老の日」にちなんだ施設訪問の公務などは天皇皇后両陛下から皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻に受け継がれている。

 陛下は、これまで長い間「退位」の希望を持ちながらも「全身全霊で」公務にあたる姿勢を崩されることはなかったということで、今後も年齢に応じた公務の見直しや継承が行われる可能性があるが「退位」までは今まで通りに公務にあたられると考えられる。