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2023年の台風は過去3番目に少なく…発生数は13年ぶりに20個下回る

2024年1月8日 18:00
2023年の台風は過去3番目に少なく…発生数は13年ぶりに20個下回る
2023年の台風経路図(気象庁より)

■2023年は台風の発生少なく

12月22日、気象庁は「2023年の台風のまとめ」を発表しました。これによると、2023年の台風発生数は17個と、平年の25.1個を下回り、1951年の統計開始以来3番目の少なさとなりました。特に9月以降は台風の発生が顕著に少なく、9月の発生数は2個(平年は5.0個)、10月の発生数は2個(平年は3.4個)、11月の発生数は0個(平年は2.2個)となるなど、9月以降の発生数としては統計開始以来最も少なくなりました。

■台風の接近・上陸少なくても影響大きく

日本へ接近した台風の数は、平年の11.7個より少ない9個。また、日本へ上陸した台風は、8月15日に和歌山県潮岬付近に上陸した台風7号のみとなり、これも平年の3.0個を下回りました。接近・上陸した台風の数は平年より少なくなったものの、台風による影響は少なくなく、大きな被害をもたらした台風もありました。

2023年に日本に接近・上陸した台風を振り返ってみます。

▶台風2号(接近)5月20日に発生した台風2号は、グアム近海で停滞し、猛烈な勢力に発達。その後フィリピンの東から北上し、沖縄および九州南部・奄美に接近。本州の南海上を東に進みました。台風が大量の暖かく湿った空気を送り込んだため、本州付近に停滞していた梅雨前線の活動が活発化。6月2日には高知県、和歌山県、奈良県、三重県、愛知県、静岡県で線状降水帯が発生し、静岡県や和歌山県などで川が氾濫したほか、各地で冠水による被害が出ました。

▶台風6号(接近)7月28日にフィリピンの東で発生した台風6号は、8月1日に大型で非常に強い勢力で沖縄本島に接近。その後、一旦は通り過ぎたかに見えましたが、東シナ海でUターンし、5日から6日にかけて再び沖縄・奄美に接近しました。その後、10日にかけて九州の西の海上を北上する迷走台風となりました。

この台風の影響で、6日には沖縄本島で線状降水帯が発生。さらに9日には熊本県、宮崎県、鹿児島県(種子島・屋久島地方)、10日には高知県、大分県、愛媛県で線状降水帯が発生するなど、各地で記録的な大雨となりました。

また、台風の影響で北陸を中心にフェーン現象が発生し気温が上昇。最高気温は、石川・小松で40.0℃に達したほか、青森・弘前で39.3℃、北海道の函館でも35.4℃まで気温が上がりました。

▶台風7号(上陸)8月8日、日本のはるか南で台風7号が発生。15日に和歌山県の潮岬付近に上陸しました。台風周辺の暖かく湿った空気の影響で近畿や中国を中心に大雨となり、鳥取県、岡山県で「線状降水帯」が発生。鳥取県(東部)には大雨特別警報が出されました。

▶台風13号(接近)9月5日に沖縄の南で発生した台風13号は、台風の勢力としてはあまり発達しなかったものの、台風中心から離れた北東側で活発な雨雲が発生。8日には伊豆諸島(南部)、千葉県、茨城県、福島県に線状降水帯が発生しました。関東を中心に記録的な大雨となり、各地で道路の冠水などが相次ぎました。

■台風の発生 なぜ少なかった?

2023年になぜ台風の発生が少なくなったのか、明確な理由はわかっていません。気象庁によると、秋に、フィリピン沖を流れる東寄りの貿易風とインド洋からの季節風(モンスーン)がぶつかり合うことで生まれる、反時計回りの大きな風の循環「モンスーントラフ」が平年より弱くなり、南シナ海からフィリピン付近での対流活動が不活発になったことが要因のひとつと考えられるということです。

■台風などの災害発生に備えて

2023年は台風の発生数は平年より少なくなったものの、台風の接近・上陸や、台風の持つ湿った空気によって記録的な大雨になるなど、大きな被害をもたらしたものもありました。近年は日本近海の海水温が平年より高くなる傾向にあり、強い勢力を保ったまま列島に近づいて大きな影響を及ぼす台風が増えている印象があります。

台風だけでなく、大雨や大雪など様々な災害に備えて、なにが必要か、どのような行動をとるのかを、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。