「異次元の子育て政策 王座決定戦」とは 民間団体がSNSで投票呼びかけ
岸田政権が、こども・子育て予算倍増や異次元の少子化対策を掲げる中、子育て政策を提言してきた民間団体が、「異次元の子育て政策 王座決定戦」として、SNSで投票を呼びかけていて、「こども・子育て関連の全ての所得制限撤廃」や「教育の全員無償化」などを支持する人が多くなっています。
ツイッター上で「#異次元の子育て政策 王座決定戦」を実施しているのは、待機児童問題をきっかけに子育て政策について、SNSなどで市民の声を集めて、国や自治体などに提言している民間団体「みらい子育て全国ネットワーク」です。
代表の天野妙さんによりますと、この企画の狙いは、岸田政権が「異次元の少子化政策」を掲げる中、本当に異次元なものとは何か、子育て中の保護者らの声をひろうこと。
少し楽しむ要素も入れたいと考え、異例ではあるものの、トーナメント形式の「選手権」の形にしたということです。
まずは、あなたが考える「異次元の子育て政策」とは何か教えて下さいと呼びかけたところ、およそ80のアイデアが寄せられ、それらのうち、似た政策をまとめるなどして、30の政策に絞り、8つのグループに分けて、ツイッター上で投票を行いました。
30の政策の中には、「全国民に育児のインターンをすることを義務化」「塾が不要の公教育の質向上」「女性総理誕生」「若者の投票権を2倍に」「子どもの数だけ投票権」「既婚、独身、子育て世帯などがお互い助け合う形で同居する地区を特区化し不動産も提供」などユニークなものもありました。
そして、8つのグループでそれぞれ勝ち上がった政策による「決勝リーグ」の結果は…(「対戦」によって異なるが、各「対戦」に約1000人から約2500人が投票)
・「(子育て支援制度で)全ての所得制限を撤廃」が「1人産んだら1000万円給付」に勝利
・「子ども・子育て関連専門職員の待遇改善」が「子育て家庭の残業、転勤を原則免除」に大差で勝利
・「法定労働時間を6時間に短縮」が「N分のN乗方式導入」に僅差で勝利
・「小中高、大学の全員無償化」が65%を獲得し、「明石市長の泉氏を総理に」に勝利。
投票した人からは「全部実行してほしい」「子どもに直接的な支援が望ましい」など多くの意見が寄せられました。
そして、決勝に残ったのは「(子育て支援制度で)全ての所得制限を撤廃」と「小中高大の全員無償化」で、28日まで投票受け付け中です。
代表の天野妙さんは、最後に残ったのが、2つとも経済的支援策だったことについて「当然の結果だと思います。子育てにお金がかかり過ぎる。これはどのエビデンスを見ても明らかなことなので」と話しています。
また、寄せられたアイデアや意見については「自分たちでは思いつかなかった政策提言がたくさんあり、本当に面白いと思いました。待機児童はまだ結構いるとか、男性の育休も取りにくい人がまだまだいるということも伝わってきました。最近は学校に関する要望が多いと感じています」と話しています。
■所得制限撤廃とは何を目指すのか?
児童手当の所得制限撤廃をめぐっては、生活に余裕がある人を支援する必要があるのかなど反対意見もありますが、天野さんは「たとえば年収が1000万円あっても、子どもが3人、4人といたら、教育費なども必要で、生活がきつい世帯もあります。生活に余裕があるか、ないか、年収だけで誰が判断できるのか?高齢出産が増えて、親の年齢があがっていて、年収が多い場合もありますが、今後働ける期間が少ないなど、色々な人がいます。想像力をもってほしい」と述べました。
さらに「社会全体でこどもの育ちを支えるという考えが日本には根付いていない。子育ての責任を家族に押しつけていると感じている。子育てを社会全体で支えるようにし、そのためには、親の年収にかかわらず、どの子も支援する形だといい」と話します。
■政府のヒアリングで発表
天野さんは、今日夕方、岸田首相も出席して行われた政府のこども政策強化の会議に呼ばれ、意見を聞かれました。
天野さんは「困った場合には支援」から「すべての親子を支援」に転換してほしいと訴え、今すぐやるべき「あたりまえ」の子育て政策として「親の所得に関係なく、妊娠、出産、教育費の無償化」「親の就労状況によらず、すべての子どもが良質な保育を受けられる権利」「すべての妊産婦に対し、妊娠期から子育て期まで、専門家が継続して伴走するように支援する仕組み」が必要だとしました。
さらに、3年以内に「異次元」として実行してほしいものとして「日本版N分のN乗方式」「長時間労働を変えて、父親の育児時間を増やすためにも、法定労働時間を8時間から6時間に」「ICT活用でこども一人一人に応じた、塾不要な公教育」を挙げました。
政府は、新たに行う子育て支援策のたたき台を3月中にまとめる予定です。