北海道の川に“サケの大群”……でも「全国」は不漁 宮城では名物メニュー「キラキラ丼」が……
北海道では、旬のサケが近年まれにみる豊漁となっています。一方で、全国的には不漁に見舞われていて、名物のいくら丼の提供を中止するなど影響も出ています。
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先月25日、北海道の千歳川で撮影された映像では、産卵のため遡上するサケが川の中でひしめき合っていました。大量のサケによる大迫力の光景です。
北海道連合海区漁業調整委員会によると、北海道では今年、サケが近年になく豊漁で、今月10日時点で2902万匹と、すでに去年1年間の漁獲量(※1668万匹)を超え、2倍に迫る勢いとなっています。
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しかし、その“豊漁”の北海道とは、対照的な地域もあります。
宮城・南三陸町にある志津川漁港を訪ねると、サケが水揚げされていきましたが、漁師からは「全然ダメ」「少ないですよ」といった“不漁”との声が聞かれました。
宮城県漁協志津川支所・魚市場 齋藤正明課長
「かなり少ないですね。去年が最低の年で、それと比べて。もっとこれから水揚げが少ないので、去年よりも下がるかなと…。がっかりしてますけどね」
漁協の担当者によると、震災前には多い時で1日100トンの水揚げがあったといいますが、最近では100キロほどに減少。また、量が少ないだけでなく、サイズも小さいといいます。
近年、不漁が続いている宮城県。先月末までの漁獲量は、不漁前の同時期と比べると「わずか3%ほど」に落ち込んでいます。
【※宮城県のサケ沿岸漁獲量(8月1日~10月31日)2018年度…61万6472匹 今年度…1万8197匹】
不漁によって、南三陸町で水産加工品などを扱う店でも影響が出ています。
マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん
「前は結構な数(サケを)置いてたんですけど、(今は)高騰なので、限られた数量でお店には並べてます」
その多くは切り身で販売していて、練り物やフライなどの加工品に回す余裕はないといいます。
また、サケの不漁により、いくらを使ったメニューにも影響が出ていました。
南三陸町にある復興商店街の名物メニュー「キラキラ丼」。いくらをたっぷり使った「キラキラいくら丼」を提供していた店では今、提供できない状態だといいます。
食事処 松原・渡邊浩代表
「みなさま、お客さまに提供できる量がないんです」
別の産地のいくらを調達することも考えたといいますが――
食事処 松原・渡邊浩代表
「地元の食材を使いたいということで始まった『キラキラ丼』なので、いつかサケが帰ってくる年まで少し頑張ろう、我慢しようってことになってます」
利用客からは「食べたいですよね」との声が聞かれました。
店では、代わりに主に、地元でとれた食材を使った定食などのメニューを提供しています。
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実は、サケは宮城県だけでなく、全国的にも不漁となっています。では、なぜ今年、北海道は豊漁なのでしょうか。
その理由について、「水産研究・教育機構 水産資源研究所」によると、日本海側などで今年とれたサケの多くが2019年に放流されたもので、稚魚だった時の水温などに恵まれたため、順調に育ったのではないかということです。