“旧優生保護法”国の責任認める 最高裁“立法行為そのものが違法”
旧優生保護法のもと行われた強制不妊手術について3日、大きな判断が下りました。最高裁大法廷は国の責任を認める判決を言い渡しました。勝訴した原告の男性は、積年の思いを語りました。
強制不妊手術を受けた北三郎さん(仮名・81)
「皆さんありがとうございます。今日はもう最高です。無念の思いが伝わりました」
原告の1人、北三郎さん。喜びの声をあげた後には、涙をぬぐうようなしぐさを見せました。
3日、最高裁が判断を示したのは、1948年からはじまり、1996年まで残っていた「旧優生保護法」についてです。
障害がある人などを“不良”とみなし、子孫を残すべきではないとした国が作った法律です。この考えに基づき、約2万5000人が不妊手術を受けさせられたといわれています。
14歳で知らぬ間に不妊手術を受けさせられたという北さん。子どもができない後ろめたさから「一生独身」と決めていましたが、周りの強い勧めで結婚。40年連れ添った妻に打ち明けることができたのは、亡くなる直前でした。
強制不妊手術を受けた北三郎さん
「『子どもはできない体になっていたけど、結婚して悪かった』って(妻に打ち明けた)。そのときに私自身、責められるかなと思っていたんだけど、それには答えずに『私がいなくなっても食事だけはちゃんととってよね』と(言われた)」
子どもを産み育てる選択肢を強制的に奪われた苦しみに司法が示した判断は…
最高裁大法廷(旧優生保護法の規定について)
「個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」
最高裁大法廷は、「旧優生保護法」は憲法に違反していると指摘。国に賠償を命じる判決が確定しました。(東京、大阪※2件、札幌は賠償命令が確定 仙台は高裁で裁判のやり直しを命じる)
その賠償について国は、請求権が20年で消滅する「除斥期間」が適用されると主張。これを認めるかは高裁によって判断が分かれていましたが…
最高裁大法廷
「国が除斥期間の主張をすることは信義則に反し、権利の濫用として許されない」
さらに「旧優生保護法」の立法行為そのものが国家賠償法上、違法だとする初めての判断を示しました。
被害者を全面的に救済する判決に…
強制不妊手術を受けた北三郎さん
「(手術を受けた)2万5000人の人たちに勝ちをしたと伝えていきたい」
一方、主張が通らなかった国は…
岸田首相
「旧優生保護法を執行していた立場から真摯(しんし)に反省をし、心から深くおわびを申し上げる。本日確定した判決に基づく賠償を速やかに行います」
(7月3日放送『news zero』より)