「マイナ保険証」に一本化へ 事実上のマイナンバーカード“義務化”? 不安な点など解説
政府が、今の保険証を2024年秋にも原則廃止し、マイナンバーカードに一本化するとの方針を近く発表する見通しだといいます。事実上のマイナンバーカードの義務化となるのではとの声も…。「マイナ保険証」のメリットや、悪用の可能性はあるのかなど詳しく解説します。
■「マイナ保険証」に一本化へ 事実上のマイナンバーカード義務化?
有働由美子キャスター
「今の健康保険証は2024年秋にも原則廃止、マイナンバーカードを保険証として利用する『マイナ保険証』に一本化する…そんな方針を近く政府が発表する見通しであることがわかりました。『廃止』と言われると焦る人も多いかと思うんですが、まずどんなメリットがあるのか…」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「『マイナ保険証』がどういったものなのかというと、マイナンバーカードが『健康保険証』の代わりをするだけではなく、『診察券』や過去に処方された薬が書かれた『お薬手帳』の情報などもすべて1枚で共有できる、つまり医療機関にかかる際にマイナンバーカード1枚で済むようになるというものなのです」
有働キャスター
「保険証がなくなるということは実質、この『マイナ保険証』が義務化されるという感じなのでしょうか?」
小栗委員
「そうなんですよね。総務省によると、マイナンバーカードを持っている人は今月10日時点で49.5%。つまり、だいたい2人に1人なんです。政府は“今年度中にほぼ全国民に行き渡らせる”という目標を掲げています。そのため、最大2万円分のポイントがもらえるキャンペーンで普及を図っているわけなんですが、それに加えて、誰もが使っている保険証代わりにすることで(普及を)加速させたいという狙いがあります。さらに2024年度までに『運転免許証』との一本化も目指しています」
■不正利用の可能性は… 「従来の保険証よりむしろ悪用されにくい」一方で指摘も
有働キャスター
「財布の中のカードが減るというのは便利なようなんですけれども、ただ、1枚になった時に、例えば落として悪用されちゃうんじゃないか…という心配も出てきます」
小栗委員
「実はマイナンバーカードの裏側にあるICチップ自体には、診察情報や薬の情報などの重要な情報というのは、そもそも含まれていないんです。その上、不正に情報を読み出そうとすると、チップが自動的に壊れるという仕組みになっているんです」
「また、マイナンバーカードに詳しい野村総合研究所の梅屋真一郎さんに聞いたところ、『顔写真があるので、従来の保険証よりもむしろ悪用されにくいのではないか』と話していました。ただ、『“持ちたくない”という人も一定数いるので、そういう人たちが生活できなくならないような配慮は必要だ』と指摘していました」
■メリット・デメリットなど“丁寧な説明”が先?
有働キャスター
「辻さんは、どう思いますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「任意だったらマイナポイントなどの付加価値をつけたりとか、発行したい人がその仕組みなどを知ることができたりすれば十分だったのかなと思うんですけど。でも、義務に近い形に変えるとなると、どんな人も発行しなければいけなくなるわけですし、現状まだ半数がちょっと不安に思っていたり、必要性を感じていない状況だったりするので、情報管理やその必要性などのメリット・デメリット含めて、皆が納得できるように丁寧に説明するのが先なのかなと思います」
有働キャスター
「このマイナンバーカードですけど、もちろん作る・作らないは、今は自由なんですが、『どうせ保険証になるなら作ってみようかな…』と思った人は、年末までに申し込めばマイナポイントが付きます」
(10月12日放送『news zero』より)