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【#みんなのギモン】“汚染水”処理の裏で もう1つの大問題 「汚泥廃棄物」の保管場所も満杯に…どうする?

2023年8月23日 6:47
【#みんなのギモン】“汚染水”処理の裏で  もう1つの大問題 「汚泥廃棄物」の保管場所も満杯に…どうする?
液体状の「汚泥廃棄物」と処理水タンク


政府が放出を決めた東京電力 福島第一原発の処理水は、高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」を浄化処理したものです。今、関心は処理水に集まっていますが、じつは浄化処理の過程で、放射性物質を含んだ「汚泥廃棄物」が大量に発生し、この保管場所も満杯に近づいているのです。
溜まり続ける処理水とともに関係者の頭を悩ませる「汚泥廃棄物」の問題。解決することはできるのでしょうか?(報道局 調査報道班 川崎正明)

福島第一原発の敷地南側の一角、処理水タンクが立ち並ぶ中に高さ約10メートル、奥行き約200メートルの巨大なコンクリートの箱のようなものがそびえ立っています。放射性物質を含んだ泥状の「汚泥廃棄物」は、この施設に保管されています。

「汚泥廃棄物」は原発から出る汚染水を浄化設備「ALPS(アルプス)」で処理する際に発生するもので、2種類あります。1つは汚染水に薬剤を注入した結果生じる沈殿物が水と混ざった泥状の液体「スラリー」。もうひとつは放射性物質をこし取るために使われた「使用済吸着材」です。

これらの「汚泥廃棄物」は直径1.5メートル、高さ約1.9メートル、厚さ約1センチのポリエチレン製の容器に入れられ、さらに放射線を遮へいするためコンクリートの箱で保管されています。この廃棄物には非常に高い線量のストロンチウムといわれる放射性物質が多く含まれています。

施設では4384基の保管が可能ですが、2023年8月9日現在で4219基が埋まっています。「汚泥廃棄物」は平均すると約2日に1基のペースで増え、24年夏には満杯になる見通しです。東京電力は新たに192基の増設を計画していますが、これもすぐに満杯になる見通しで「いたちごっこ」の状態が続いているのです。

抜本的な対策は?

汚染水を浄化処理すればするほど増え続ける「汚泥廃棄物」。減らしたり、なくしたりする抜本的な対策はないのでしょうか?

東京電力は、ドロドロの液体状の「汚泥廃棄物」から水分を取り除く脱水作業を行った上で乾燥させ、「固体」に変えて量を減らして保管する計画を立てました。ところが、固体にする設備の稼働自体が予定より大幅に遅れ、3年後の26年度末にずれ込む見通しです。その上、原子力規制委員会からは安全対策が不十分と指摘され、現時点で設備の詳細な設計さえも固まっていません。

さらに、「汚泥廃棄物」をいれるポリエチレン製の容器の一部は耐用年数を超え、破損する恐れがあることもわかりました。これを新しい容器に移し替える作業も行わなければならないのです。

原子力規制庁の幹部は日本テレビの取材に対し、
「容器の耐久性の問題は当初から言っていたことで、東京電力の対応は後手後手に回っている。また、汚泥廃棄物を固体化すると、放射性物質が乾いた粉末やちり状化するために、作業員の被ばく防止の観点からも、取り扱うのは非常に大変なことだ」
と話し、手法自体に疑問を呈しました。

処理水の約7割は国の基準を満たしていない

今、福島第一原発には汚染水を浄化した処理水が約1000基のタンクに保管されていますが、実はこの処理水の約7割(79万3400立方メートル  2023年3月現在)が国の安全に関する規制基準を満たしておらず、トリチウム以外の放射性物質が基準となるレベルを超えて含まれています。つまり、そのまま海水で薄めて海に放出することはできず、もう一度「ALPS」で浄化処理を行わなければなりません。

処理水の多くはもう一度浄化作業を行わなければならず、「汚泥廃棄物」はさらに増えると考えられるのです。

東京電力は
「保管中の表面線量の低い『汚泥廃棄物』約400基を対象に、上にたまった水を抜いて空き容量分を再利用し、保管容器が満杯にならないような対策を講じる」
としていますが、根本的な解決策にはなりません。

海洋放出が始まる処理水の陰で増え続ける「汚泥廃棄物」。処分の見通しが立っていないのが実情です。

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