進化する個性派トマト 高価格も人気 差別化しやすく“新規参入”活発に
夏野菜の代表格のトマト。完熟状態で薄い緑色という珍しいものなど“個性派”品種が数多く登場しています。他の野菜と比べて差別化しやすいのがトマト作りの魅力だといい、トマト業界に新規参入の動きが活発になっています。
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ジメジメした天気が続くなか食べたくなる野菜といえば、夏野菜の代表格、みずみずしいトマトです。
東京・豊島区にあるスーパーでは、大きさや色が異なる13種類のトマトが売られていました。この時期、トマトの品ぞろえは一番充実しているといいます。最近の売れ筋は、糖度が高いものなど少しお値段の張る“高価格帯”のトマトだといいます。
クイーンズ伊勢丹目白店 青果担当チーフ・中野里美さん
「甘いトマトをお求めになるお客様が多いので、高糖度トマトを中心として100~200円くらい(値段が)上がってしまうんですけれども、それでもお買い求めになるお客様がいっぱいいます」
調査会社インテージによると、全国のスーパーで350円以上のトマトが売れた割合は、8年で約1.5倍になっています。(“高価格帯”トマト(350円以上)の販売割合 2013年度:9.5% 2021年度:15.7%)
お客さん
「今日はサラダに使いたかったので、糖度重視で選びました」
自らトマトを育てたい人も多く、家庭菜園での人気が高まり、タネなどを扱うメーカーでも色とりどりのミニトマトを展開しています。
神奈川・藤沢市にあるトマト農園では、薄い緑色が特徴の「サングリーン」という珍しい品種が育てられていました。緑色で完熟状態です。
井出トマト農園・生産部 柄澤一成さん
「こちらのトマトはサングリーンという品種で、見ての通り全部緑です」
見た目からは想像がつかない、まろやかな甘さと酸味が特徴で、サラダやピクルスにして食べるのがオススメだといいます。この農園では他にも、糖度が高い「ハニードロップ」など“個性派トマト”を数多く作っています。
また、この農園では、7月10日まで“トマト狩り”も行われており、珍しいトマトを目当てに、多くの客が訪れていて、制限時間いっぱいに40個以上のミニトマトをゲットする人もいました。
来園者
「野菜じゃなくて、本当にフルーツという感じです」
40年以上、トマトを作り続けているこの農園は、最近“トマト業界の異変”を感じているといいます。
井出トマト農園・生産部 柄澤一成さん
「“新規参入”の方は増えていると思います。うちの農園で働いて経験を積んで、独り立ちする方も増えているので」
実は、大手旅行会社の「HIS」がトマト作りに乗り出すなど、トマト業界では“新規参入”の動きが活発です。
東京・日野市に真新しいハウスを構える川名桂さん(30)は、東京大学を卒業後、福井県でトマト作りを学び、数年前に農園を立ち上げました。
ネイバーズファーム 川名桂代表(30)
「自分のコントロール次第で味がすごく変わったりだとか、品質が変わってくるので、難しいけどやりがいがある」
他の野菜と比べて、栽培に手間をかけた分だけ味に変化が出て、差別化しやすいのがトマト作りの魅力だといいます。また、少ない面積で多くの収穫が見込める点も、トマト栽培を始める人が多い理由の1つだといいます。
この農園では常連客も徐々に増えてきています。
購入客
「ちょっと食べたことがないような繊細な甘さだったので、気に入ってます」
現在は、6種類のトマトを日野市内のスーパーや農園前で販売しているということです。