起業失敗時のリスク低、トライする時代へ
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「新規開業資金、減少傾向」。新規事業立ち上げの支援を手がけている室岡拓也氏に聞いた。
日本政策金融公庫の2017年の調査によると、新しく会社を立ち上げたり、店を開いたりした際の費用について「500万円未満」の割合が37.4%と最も高くなっていて、3年連続で増加している。また、こうした費用の平均値は1143万円、2016年度に比べて80万円減り、調査開始以来、最も少なくなっている。
ネット上では「資金がたまるのを待つと、タイミングを逃すことも」「借りるにも、実績ないと難しい」「開業費用を抑えるには工夫が必要」という意見があった。
――この調査結果は、いいことなんでしょうか、悪いことなんでしょうか。
これはいいことですね。フリップには「今こそ失敗は成功の素の時代」と書きました。まさに開業資金が下がっているということは、いろんなトライができる時代になっているのかなと思うんです。昔であれば、開業には一定のキャッシュが必要とか、信頼がないとなかなかできない、とか「できない」ことのオンパレードだったと思うんですが、今は開業資金が下がっていることや、日本政策金融公庫などは無担保・無保証の融資をたくさん出したりしているんです。
そうすると、仮に事業がうまくいかなくなっても、そのリスクで先に進めないよりは、仮に失敗をしたとしても国が守ってあげると――そういうセーフティーネットがあがってきていることもあって、起業や挑戦のハードルがすごく下がっていると感じます。
――環境の変化とマインドの変化と言える?
難しいポイントですね。環境はすごく変化してきているんですが、マインドが変わってきているかというと、まだまだ「変わっていったらいいのに」という時代の可能性もあります。環境は整っているけれど、昔ながらのマインドでまだ残っている人たちもいると思います。何かトライをするんだったら、失敗してもいい、それは成功の素だよと。
――経験として積んでいくほうが大切だと?
僕はそういうふうに思いますね。トライをしてみました、うまくいきませんでした――昔は膿(うみ)を隠す時代だったかもしれませんが、今は膿をさっさと出しましょうと、そして次の新しい挑戦に素早く移動すると、そんな時代かなと思ったりします。
■室岡拓也氏(33)プロフィル
新規事業立ち上げの支援を手がけている。大手商社マンだった室岡氏は、28歳で起業、大企業やベンチャー企業向けの新規事業立ち上げの支援を手がけていて、“想いを持つ人”が挑戦できる環境をプロデュースしている。
【the SOCIAL opinionsより】