運動が苦手なら「得意なものを作ればいい」
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「運動苦手な小学生 得意種目あれば前向きに」。世界ゆるスポーツ協会代表・澤田智洋氏に話を聞いた。
スポーツ庁が先月発表した運動に関する調査によると、体力テストの合計点が下位30%に入った子でも、記録が1種目でも全国平均を上回っていれば「体育の授業が楽しい」と感じる子どもは小学5年生の男子で58.6%となった。
1種目も全国平均を上回っていない子に比べ、9.7ポイント高い結果となった。
ネット上ではこんな意見が見られた。
「スポーツが得意な子だけが楽しい体育は過去のもの」
「体育苦手だけど、卓球は得意だった」
「うちの子は体育の先生が嫌いで、さらに苦手に」
――この話題について澤田さんの意見をフリップに書いていただきました。
「バラエティー体育」です。
結局、スポーツも相性だと思っていて、既存の近代スポーツのすべてが合わない人もいるんですね。そういった生徒さんにとっては体育やスポーツは苦手なものだし、体力テストは8つあるのですがその全部が不得意だという人もいます。
そういうときに重要になるのが、スポーツのほうがもっとバラエティー豊かになること、つまりラインアップをそろえることだと思っています。
私がやっている“ゆるスポーツ”というのは新しいスポーツを作っているのですが、いま70の競技があります。そうすると誰が来ても気に入るスポーツが何種目かあるんですね。ですので、僕らがイベントをやると20競技くらい提示するのですが、みなさん楽しかったといって帰って行きます。好きなスポーツが見つかったからです。ですので今回の調査データを見ると、今後の体育とか体力テストとかも、もっと種目幅を増やしていけばいいのではないかと思います。
いま体力テストは8種目あるのですが、例えばそのうち5種目は必ず受けなくてはならない規定テストであるとして、残りの3種目は80個の中から好きな3つを選んでいいよと。自分がこれだったら得意だとか、これだったら楽しんで取り組めるというものを選べる。はたまた自分でテストを作ってもいいよみたいな。50メートル走は嫌だけど、89メートル走だったら俺は勝てるという人が万が一いたら89メートル走を作ってもいいみたいな。
そんな感じで絶対受けなくてはならないテストと、選んでいいテスト、作っていいテストを設ける。普段の体育でも絶対にやらなくてはいけないスポーツと選べるスポーツ、作っていいスポーツという感じでラインアップが豊富になってくると、みんながもっとスポーツが好きになるんじゃないかと思います。
――子どもたちが苦手なものではなくて、“得意なものを探す力”というのもつきそうですよね。
いまはみんなが編集者になっている時代で、例えばネットフリックスを見るときも見ているみなさんが膨大にあるコンテンツの中から、いまの自分の気分にマッチしたコンテンツを選んで編集しているわけですよね。
同じようにスポーツもそうあるべきだと思っていて、これをやりなさいと提示されてそれをやるというのはあまり“いま的”ではないと思います。生活者の行動としてもそうだし、1人のプレーヤーとしても、今の時代、それはふさわしくないと思います。
やはり自分で選んでスポーツを編集して、自分が好きな体育科目というのを自分なりにプロデュースしていくくらいになっていくともっと日本が楽しくなるんじゃないかと思います。
【the SOCIAL opinionsより】