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【解説】オミクロン株予防にも「不織布マスクと距離」は“有効” 1m以上でリスク“ゼロ”も

2022年2月3日 20:52
【解説】オミクロン株予防にも「不織布マスクと距離」は“有効” 1m以上でリスク“ゼロ”も

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。その原因であるオミクロン株の特徴を示す、新たなデータが示されました。スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーション結果と合わせて、詳しく解説します。

■オミクロン株「二次感染」1週間以内に発症か“待機期間”短縮に

2日、全国の新規感染者は初めて9万人を超えました。このうちおよそ2割を占めているのが東京の感染者で、2日、初めて2万人を超えました。ほかにも、北海道・愛知など18の都道府県で過去最多を更新しました。

報告された死亡者は82人で、80人以上となったのは去年9月9日以来です。

このように猛威をふるうオミクロン株の潜伏期間について、国立感染症研究所が新たなデータを示しました。

一次感染者の発症日から、どのくらい時間がたって二次感染者が発症したかを調べたところ、2日以内に発症した人は約30%、4日以内だと約88%、7日以内には99.98%の人が発症していることがわかりました。

こうしたオミクロン株の特徴を踏まえて、厚生労働省は2日、同居する家族などが感染して濃厚接触者になった時の待機期間を短縮することを発表しました。

これまでは感染者の療養期間10日間に加えて、最後に感染者と接触した日から7日間、最長で17日間の待機が求められていました。場合によっては、感染者本人よりも長くなるケースもありました。

新たなルールでは、同居家族などの待機期間は、「感染者が発症した日、あるいは自宅内でマスクの着用や消毒など一般的な感染対策を始めた日のどちらか遅い方から7日間」となり、この時点で発症しなければ待機が解除されます。

待機期間が10日も少なくなれば、日常生活への影響もだいぶ軽減されます。

■マスクのオミクロン予防効果「富岳」で検証 必要な距離は…

こうした中、オミクロン株に対するマスクの効果を検証したスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーション結果が発表されました。

「オミクロン株の感染力をデルタ株の1.5倍」で「イベント時」と想定し、「一番後ろに座っている人を感染者」とした場合、どのように飛沫が飛ぶのでしょうか。

まず、感染者がマスクをしていない場合、右隣の人と会話をした場合、感染者がマスクをしていないと前の席まで広い範囲に飛沫が飛びます。

一方、感染者が不織布のマスクをしていれば、飛沫が飛ぶ範囲はぐっと狭まり、隣の人までしか届きません。さらに、マスクをして1席おきに間隔をあけて座ると、感染リスクがかなり下がることがわかりました。

オミクロン株でも、マスクを着用して、距離を取ることが感染予防には有効だと、データでも改めて示されました。

次に「しゃべっている感染者と15分間、対面した場合のリスク」は、感染者がマスクをしていない場合、感染するリスクは1mの距離で60%、2mでおよそ20%に下がります。

一方、感染者が不織布のマスクをつけている場合、1m以上距離を取れば、リスクはゼロになるということです。

ただし、50cm以内に距離が近づくと徐々にリスクが高まり、25cmまで近づくとリスクは最大30%ほどに上がるということがわかりました。

50cmは人の横幅ぐらいの距離で、話をしているとついつい近づいてしまうこともあります。マスクをしていても、最低50cm以上、できれば1m距離を取ることを意識したいです。

しかも、このシミュレーションでは、片方の人はマスクをしていないという想定なので、両方がマスクをしていれば、さらにリスクは下がるということです。

■深呼吸しても…マスク着用で取り込む飛沫“3分の1”

さらに、「深呼吸をした時に、ほかの人からの飛沫をどれくらい取り込んでしまうか」を、マスクあり・なしで比較したデータもあります。

マスクをしていれば、多少、隙間があいていても、飛沫の多くがマスクで食い止められますが、マスクなしだと鼻や口など飛沫の多くが上気道に取り込まれます。

マスクをすることで、取り込まれるウイルスなどの数は3分の1に抑えられることがわかりました。

ただし、せきやくしゃみなどで出る比較的大きい飛沫は、マスクで防げても、空中を漂っている小さい飛沫はマスクでは防ぐことができないので、換気などの対策も併せて行うことが重要だということです。



感染力が強いオミクロン株に対しても、「マスクと距離」という最も基本的な対策で、リスクを大きく下げられることがデータでも示されました。意識さえすれば誰もが簡単にできる対策ですから、基本に立ち返って、「マスクと距離」の対策を続けていきましょう。

(2022年2月3日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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