社会課題解決「意識」と「行動」にギャップ
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「若者の『社会課題解決』への意識は?」。Harch代表取締役の加藤佑氏に聞いた。
ウェブマガジン「IDEAS FOR GOOD」を運営するHarchが、10代~30代の読者を対象に行った調査によると、「就職の時に社会課題解決に積極的な企業か」を「意識する」と答えたのは68%だった。
一方で「商品購入の際に社会課題解決に貢献しているか」を「意識する」と答えたのは34.9%。社会課題への関心と、購買への行動にギャップがあることがうかがえる。
――加藤さん、いわゆる社会課題解決に意識が高い人も行動にはつながりにくいということになるわけですよね。
一般的にこういう調査を行うと、意識と行動にギャップがあるというデータはよく出ます。しかし、それは消費者の意識が低いという問題ではなく、関心があるのに買ってもらえない、それは企業側がギャップを埋める責任があるんじゃないかという議論もでてきています。
――ではここでキーワードをお願いします。
「いつの間にか社会貢献」です。
社会に良いから買うというのではなくて、デザインがいいから機能がいいからという理由で買って、その結果として社会貢献につながっている、そういうものを作っていくことが大事なのかなと思います。
――企業側の努力で結果的に買うことにつながっていたということですが、具体的にどんな事例がありますか。
例えば、この水筒ですが竹で作られています。これはデザインがいいので普通に欲しいなと思うんですよ。しかし、これを使うことによって結果としてペットボトルの利用が減ったりとかがあるので、こういうデザインとか機能性を大事にしたプロダクトの結果として社会貢献ができるという仕組みをつくるのがいいのかなと思います。
――買う方の意識を高めるというのはわかるのですが、企業側の努力が必要だということなんですよね。
まずは買いたい、長く使いたいと思ってもらえるような商品を作るのがすごく大事で、結果として大切に使ってもらえるので廃棄も減るし、環境にも良いと、そういうことだと思います。
――こういう社会貢献できる商品をなかなか買わないというのは日本だけの問題なのでしょうか。
やはり欧州などでは、消費者の意識が高いというのはよくいわれます。しかし、こういうギャップというのはどこの国にもあると思います。
――では世界的にもこういう企業側の努力が必要ということでしょうか。
そうですね。ですので、我々もどういうことができるかと色々良いアイデアを探してオンラインマガジンとして配信しています。
――こういうかわいらしいデザインの商品を作ることができれば、世の中が変わっていくということですね。
理想としては社会問題を意識しなくても、結果としてよい仕組みに入っていけるような社会というのを、企業と消費者が一緒になってつくっていければいいのかなと思います。
■加藤佑氏プロフィル
世界中のソーシャルグッドな取り組みをタイムリーに届けるウェブマガジン「IDEAS FOR GOOD」を運営。編集長として社会課題解決にむけポジティブなインパクトをもたらす革新的なテクノロジーや活動を紹介している。加藤さんは大学卒業後、リクルートキャリアを経て大企業向けのCSRコンテンツ制作などに携わってきた。2015年にウェブメディア事業を手がけるHarchを設立。人の心を動かすメディアやコンテンツ作りを通して社会がもっとよくなる仕組みをつくることを目指している。
【the SOCIAL opinionsより】