「シブヤフォント」グッドデザイン賞に入選
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「シブヤフォント グッドデザイン賞」。デザイナーでアートディレクターのライラ・カセムさんに話を聞いた。
渋谷で暮らし働く障害のある人と、渋谷で学ぶ学生が協働してデザインした「シブヤフォント」。
障害者に新しい収益を生んだり、渋谷を代表する新しいお土産を生み出そうとするプロジェクトとして2016年に誕生した。そして、まさに今日10月2日「シブヤフォント」が、2019年グッドデザイン賞に入選したと発表された。
――この「シブヤフォント」ライラさんも活動に参加されているそうですね。ご意見をうかがいます。まずはフリップをお願いします。
「最高の三角関係」です。
これは、2016年に「違いを力に、多様性を力に」という渋谷区の構想をもとに、渋谷区から渋谷発信のお土産を作ろうということで、障害のあるアーティストのアート作品をお土産とか商品に生かしたらいいんじゃないかということで、桑沢デザイン研究所の生徒たちと施設の現場の人たちと、渋谷区がバックアップして実際に活動しているプロジェクトです。障害のある人の絵、パターン、デジタルパターンなどをフォントにすることで、実際に施設で作っている商品に活用したり、一般の方がワンコインでダウンロードできるようになっていて、様々なところで展開しています。
――ライラさんのおすすめは?
全部おすすめなんですけど、こちら実はラブホテルをイメージした柄だったりして結構人気な柄です。あとは、ビルとかパラスポーツとか、色々あって、実際に渋谷のものじゃなくても、多様性だったりを象徴したような中性的なものもあったりします。
――色づかいが独創的ですね?
やっぱりそこは彼らならではの醍醐味(だいごみ)かなと思っていて、実際にこういうカラフルなものが、みんなの日常の中に溶け込んでいくことで、感覚的に人の感情を揺さぶる何かがあるんじゃないかなと思います。
――今日はグッズを持っていただきました。どんなものですか?
こちらは実際に企業さんとコラボした応援タオルなんですけど、これも渋谷の人や町をイメージしたもので実際に販売しています。渋谷区役所で販売していたり、施設自身が実際に自分たちで売って賃金につなげていたりします。
――とにかくおしゃれですが、どのように生み出されているんですか?
学生と一緒に絵を作るっていうところから、学生がその人らしさをまずは出して、それを最大限に生かしているっていうところが、ただ絵を使ってやるのではなくて、施設の職員、アーティストと一緒にやることで、どんどんその人の良い部分を切り取っておしゃれにできている。「自分でも欲しいなって思うものをとりあえず作りなさい」と私はディレクターとしていつも言っています。
――そのとき手に取るだけじゃなくて、ずっと使っていけそうなものですね。
みんなおしゃれなものが欲しいので。今はインテリアにも活用されてるので、ぜひ。
■ライラ・カセムさんプロフィル
日本育ちのイギリス人。デザイナーでアートディレクター。障害福祉施設などに定期的に足を運び現場の職員や人々とともに障害のある人の社会参加と経済自立につながるアート作品・商品開発・イベント企画などを作り上げている。また、学校になじまず自分の学びを追求したいという志を持った子どもたちに学習の機会を提供する「異才発掘プロジェクトROCKET」や社会での“違い”を超えた出会いで表現を生み出すアートプロジェクトTURNにも携わっている。
【the SOCIAL opinionsより】